中学校間で制服に価格差 海老名市、改善策検討へ

 海老名市総合教育会議の本年度1回目会合が8日、同市役所(同市勝瀬)で開かれた。困窮家庭の増加を背景に、制服や教材など保護者の負担が大きいとされる課題が取り上げられた。市教育委員会の調査で中学校制服は約2万5千円の価格差があることが判明、「保護者負担経費検討委員会」を月内に設置し、改善策を示す方針が了承された。

 同会議は、内野優市長を議長として伊藤文康教育長と4人の教育委員で構成。昨年度は6回開催し、本年度は4回を予定している。今回は、学校やPTAの関係者ら86人が傍聴した。

 内野市長は「導入3年目に入った同会議で、本年度は保護者の負担軽減に向けた議論を始めたい。例えば、制服は高すぎるのではないか。各校の判断に任せてきた結果でこうした価格差が生まれた。改善を促す統一見解をまとめたい」などと話した。

 調査は今年5〜6月、割高感が指摘される制服費などの実態把握のために市内全小中学校を対象に初めて実施。制服、指定運動着、教材、修学旅行、卒業アルバムなどの購入費(昨年度)を調べた。結果、中学校の制服は男子が6万1992〜3万6010円、女子が6万2258〜3万6014円と、共に2万5千円以上の価格差があったことが分かった。

 一方で、運動着は男女共に1万8468〜1万6092円。教材は小学校平均9936〜8502円、中学校平均1万8394〜1万3933円。修学旅行は小学校2万3670〜1万8958円、中学校5万5871〜5万837円。卒業アルバムは小学校8900〜6700円、中学校6500〜5500円だった。

 委員からは「制服にこれほど学校間に価格差があることに驚いた。要因を調べ、見直しが必要だ」「彫刻刀など個人で購入するのではなく、学校の備品として一括購入して貸し出せる教材があるのではないか」などの意見が出された。

 市教委によると、制服や運動着は市内全ての中学校でデザインが異なり、販売業者も分かれる。修学旅行は行き先や目的で価格面で差異が見られる。こうした保護者負担の実態調査は県内では異例という。

 改善に向けた検討委は学校やPTA関係者ら約15人で今月下旬に設置、来秋に提言をまとめる予定。

 ◆中学校の制服などを巡る課題 子どもの貧困に注目が集まる中、中学校入学時に購入する制服や運動着が高く、保護者の負担が増している。学校ごとでデザインが異なり、多品種少量生産でコストが下がらない。取り扱い業者も限定され、競争原理が働いていないとの指摘もある。公平性が保たれず、指定品の妥当性を問う声が関係者から聞かれる。

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