「リレーコラム」各方面から大きな期待

J1神戸加入の元ドイツ代表ポドルスキ

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夕刊メモ(9)の(ア)、運J501S、神戸発、大沢祥平  J1神戸に加入し、練習で汗を流すポドルスキ=神戸市

 掛け値なしの「ワールドクラス」がやって来た。

 サッカー・トルコ1部リーグのガラタサライから、J1神戸へ加入した元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキ。「大きな挑戦だ。なるべくたくさんのゴールをお見せしたい」と意気込み、7月下旬にもJデビューが予想されるレフティーは各方面から様々な期待を寄せられている。

 実績は抜群だ。ドイツ代表で130試合出場、49得点。出場はローター・マテウスにミロスラフ・クローゼ、得点はクローゼとゲルト・ミュラーに続く偉大な数字をマークした。

 ワールドカップ(W杯)には2006年ドイツ大会から3大会連続出場、14年ブラジル大会で優勝し、欧州選手権も4度経験している。3月にドイツで行われた代表引退試合では、イングランドを相手に代名詞の左足ミドルシュートで決勝点を奪い、有終の美を飾った。

 クラブシーンでもケルン、バイエルン・ミュンヘン(ともにドイツ)、アーセナル(イングランド)、インテル・ミラノ(イタリア)と日本人にもなじみのある有名クラブを渡り歩いてきた。

 神戸が何より期待するのは、その得点力。昨季のJ1得点王であるブラジル人FWレアンドロが今季開幕戦で大けがを負い、前線に迫力を欠いているのは否めない。

 神戸の田中健一社長は第一に「点を取ってほしい。明らかに得点力のある選手が来てくれる」と言う。

 さらに既存の選手が大きな刺激を受けることや、集客力、グッズ販売や営業への効果などはもちろん、こんな思惑も抱いているそうだ。「ポドルスキと一緒にプレーする、もしくはポドルスキのいるクラブで活躍すれば海外の人やメディアが見てくれる可能性がある」ことが、加入や移籍を考える選手にとって神戸の魅力の一つになるのではないか―。

 ポルトガル1部リーグの強豪スポルティングでポルトガル代表ナニらとプレーした経験を持ち、今季神戸に加わった元日本代表FW田中順也は「一緒にやっていて外国人選手はうまいなあ、勝負強いなあ、と思うところがあった」と実感を込めて語っていた。

 確かに世界基準を日常的に感じられる環境は、タイトル獲得経験のない神戸にはリクルート上のアピールポイントとなりそうだ。

 神戸の街も期待している。港町・神戸とドイツの関係は古く、深い。日独の友好、親善を目的とする神戸日独協会の資料によれば、1868年の開港後初の外国商船はプロイセン(現ドイツ)籍の汽帆船。ドイツ人コミュニティーが形成されると、ドイツ人は神戸の外国人社会の中で有力な地位を築いた。

 神戸は西日本での交流の中心となっていき、現在は大阪にあるドイツ総領事館も阪神淡路大震災までは神戸にあった。

 ただ、同協会の会長を務める枡田義一神戸大名誉教授(ドイツ語学)は「震災と老齢化で(神戸のドイツ人)はだいぶ少なくなった」と説明し、開港150年の節目に「ポドルスキが新しい交流の起爆剤になってくれればね」と語る。

 Jリーグが英パフォーム社と放映権を巡って巨額契約を結んだことで、各クラブは収益規模の格差が広がる競争に直面している。

 今季のJ1上位は破格の理念強化配分金を手にし、優勝クラブは賞金と合わせて20億円超を得る。推定年俸6億円のポドルスキが見合った活躍をするかどうかというリスクは伴うが、この大型投資はクラブの競争力や価値を高める点でJリーグの思惑とも合致している。

 神戸の三木谷浩史会長は「総合的に見て、十分、投資回収は見込めると思う」と自信を見せる。

 ポドルスキのJデビューは最速で7月29日の大宮戦(ノエスタ)。その一週間前には仙台との親善試合(ユアスタ)があるが、招待する側の仙台が神戸側に断りを入れた上で「ポドルスキ選手が出場予定」と早々にアナウンスしているというから、期待の大きさがうかがえる。

 「Jリーグに新しい風を吹き込んでくれることを大変期待している」と三木谷会長。神戸サポーターはもちろん、サッカーファンや関係者ら多くの人々がわくわくした気持ちでポドルスキがピッチに立つ日を楽しみにしている。筆者も、世界を魅了してきたプレーを見られる時を待つサッカーファンの一人である。

 大沢 祥平(おおさわ・しょうへい)1988年生まれ。埼玉県出身。2011年入社。福井支局を経て福岡運動部でサッカーやソフトバンクを担当。15年12月に大阪運動部へ異動し、阪神を担当。現在はサッカーやボクシング、陸上などを取材。

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