ホンダ 新型フィット、マイチェンで弱点無くなった!?速攻試乗で徹底検証

2017年6月にマイナーチェンジしたホンダ フィットを早速試乗!

ホンダ 新型フィット(2017年6月マイナーチェンジ)

「実用性の高いクルマが欲しい」と考えているなら、マイナーチェンジしたホンダ 新型フィットはベストチョイスかもしれない。大きな弱点が見当たらないのだ。このクラスで圧倒的に広いキャビンスペースを持ち、ライバルを凌ぐ実用燃費。さらに納得出来る性能の自動ブレーキも選べる。以下、じっくり紹介しよう。

ライバルを圧倒する広いキャビンスペース

ホンダ 新型フィット(2017年6月マイナーチェンジ)

まずキャビンスペース。もはや世界ナンバー1と言って良いほど。身長183cmの成人男性にドラポジ合わせた状態で、同じく身長183cmの成人男性がリアシートに余裕持って座れる。その状態のまま、2000ccクラスの4ドア車のトランクに匹敵するラゲッジスペースを残す。

VW ポロやトヨタ ヴィッツ、スズキ スイフト、マツダ デミオなど相手にせず、広い室内を持つと言われる日産 ノートすら相手にならないほど。フィットと同じキャビンスペースを必要とするなら、スバル インプレッサなど2ランク上のボディサイズが必要。家族4人のファミリカーとして十分使えると思う。

実用燃費も負けていない

実用燃費も良好。ハイブリッド仕様こそトヨタ アクアや日産 ノートeパワーと同等ながら、普通のガソリンエンジン仕様は同じクラスのライバルに10%くらい勝る。それでいてエンジン出力も高いため、動力性能だって良い。参考までに書いておくと、普通のガソリンエンジンの日産 ノートが79馬力に対しフィットは100馬力。

今回のマイナーチェンジで、新型フィットは走りの質感を高めてきた。サスペンション取り得付け部分の鉄板を厚くしたり(マイナーチェンジと思えない入魂の内容)、窓ガラスの厚さを増したり、吸音材を増やしたりしている。結果、ハイブリッド仕様の上級グレードは、正しく2000cc級の静粛性を持つほど。

充実した安全装備により、素晴らしい実用車に

ホンダ 新型フィット(2017年6月マイナーチェンジ)

そして新型フィットでは、コンパクトクラスで最も優れた自動ブレーキが選べる。同じシステムを採用しているホンダ フリードの公的な自動ブレーキ試験の結果を見ると、停止車両に対しノーブレーキで時速50キロで接近しても追突することなく自動停止する。歩いていない歩行者なら認識してブレーキを掛ける(歩いているとダメ)。

さらに車線キープ機能や、時速30~115キロの範囲内での先行車追従クルーズコントロール(ACC)も付く。トヨタ アクアは歩行者を認識出来ず、先行車追従クルーズコントロール無し。日産 ノートeパワーなど、単純なクルーズコントロールすら付いていない。ロングドライブするなら迷うことなくフィットである。

といった具合でマイナーチェンジした新型フィットは、素晴らしい実用車に仕上がっている。

新しいホンダ フィットの購入を考えているなら、年間走行距離が多い人はハイブリッドを。少ない人なら普通のエンジンを選べば良いと思う。大ざっぱに言って年間1万kmくらいがハイブリッドか普通エンジンかの境目だと考えていい。

ハイブリッドは乗り心地や静粛性が向上するも・・・

簡単にそれぞれのパワーユニットの印象を。ハイブリッドと並び売れ筋になっている1300ccの標準エンジンは、従来型と比べ静粛性や質感であまり大きく進化していなかった。ボディの剛性感など向上しているのに、乗り心地はイマイチなのだ。質実剛健なファミリーカーといった雰囲気。

前述の通りハイブリッドは乗り心地や静粛性が向上している。ただアクセルを踏んだ時のレスポンスの悪さにつていえば大きな改善無し。いろんな意味で加速&減速の不自然さを感じてしまう。少なくともクルマの楽しさ、という視点からは遠い世界にある。この点で日産 ノートeパワーを選ぶ人が多いというのはよく解る。

もう少し“尖った”魅力を!

ホンダ 新型フィット(2017年6月マイナーチェンジ)

好印象だったのがRS。132馬力の1500ccは、6速マニュアルで乗るとパワフル!ハンドリングも上々。

とは言え、価格は205万920円。ほとんど同じ予算でシトロエン C3とかVW ポロに手が届くと思ったら微妙である。楽しいけれど「凄く楽しい」というレベルには届いていない。もう少し“尖った”魅力を!

魅力の薄さという点から考えれば、フィット全般に言えるかもしれない。例えばスバル インプレッサに対するスバル XVのように、クロスオーバー風のバリエーションモデルを設定しても良かったんじゃなかろうか。日曜日が楽しみになるようなフィットを作ったら、売れ行き2倍になると思う。

[レポート:国沢光宏/Photo:島村栄二]

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