入居者孤立から守る 健康目配り「再建、道筋つくまで」

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秋津中央公園仮設住宅の住民に経口補水液などを配り、熱中症への注意を呼び掛ける生活支援相談員の弥永慎一さん(右)=12日、熊本市東区

 「入居者を孤立させない」。熊本地震に伴い、被災者が生活する仮設住宅への見守り活動に熊本市も力を注ぐ。市内8カ所にできた建設型の仮設住宅団地には、入居者の見守りを担う生活支援相談員が平日に1人ずつ常駐。「全員の生活再建の道筋がつくまでサポートしたい」と、入居者の健康状態や多様な要望に目配りする。

 54世帯の約120人が暮らす東区の秋津中央公園仮設住宅。「熱中症に気をつけ、危ないと思ったら飲んでください」。曇天で蒸し暑い12日、生活支援相談員の弥永慎一さん(60)は、体に吸収されやすい経口補水液のペットボトルを各戸に届けた。熊本市民病院の看護師2人も一緒に巡回した。

 弥永さんは、同仮設住宅にある集会所「みんなの家」に2月以降常駐。支援物資を配布したり、生活再建の相談に乗ったりしながら見守りを続ける。

 地震の被災者がみとられずに亡くなる「孤独死」が、今年に入って相次いでいる。県が5月末までに把握しただけで7例。うち1件は益城町の建設型の仮設住宅で起きた。

 秋津中央公園仮設住宅の54世帯中、65歳以上の1人暮らしは12世帯。高齢夫婦のみも12世帯を数える。それだけに巡回は重要だ。ポストに配達物がたまった世帯があると、呼び鈴を鳴らして「新聞や郵便が届いてますよ」と声を掛ける。「中から『まだ生きとるよ』と冗談交じりの返事をする高齢者もいます」と苦笑する。

 熱中症の心配が高まる時節を迎え、「孤独死は決して出さない」と弥永さんの表情が引き締まる。みんなの家を会場に、マッサージなどを受けられる催しも開く。「なかなか顔を出さない人にも来てもらえるよう、粘り強くニーズを把握したい」と余念がない。

 熊本市には、賃貸住宅や公営住宅などを借り上げた「みなし仮設」の入居者も多い。市復興総室によると、他市町村からの転居者も含め約1万500世帯に上る。このため、市は被災者支援に当たる「地域支え合いセンター」を全5区に置き、センター職員がみなし仮設を訪問。入居者の暮らしぶりや生活再建の見通しを聞き取っている。だが、約2千世帯は不在がちで連絡が取れないという。

 建設型、みなし仮設とも入居期限は原則2年のため、市復興総室は「各世帯の状況を早く把握し、個別事情に応じた支援を提案したい」。また、市民生委員児童委員協議会は行政と連携し、「みなし仮設」の見守り活動への協力を検討中という。(隅川俊彦)

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