津軽デジタル風土記プロジェクト キャンベルさん講演

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津軽関連の文献の映像を前に記念講演するロバート・キャンベル館長

 弘前大学や人間文化研究機構国文学研究資料館(東京都、ロバート・キャンベル館長)などの共同事業「津軽デジタル風土記の構築」プロジェクトの覚書締結式と記念講演会が15日、同大創立50周年記念会館みちのくホールで行われ、約250人の市民や関係者が、一大システム構築のスタートを祝った。

 事業は3年間で実施。デジタル化した津軽の古典籍約2万こまをウェブ上で集大成し公開する。

 サイトは「思想と言説世界」「自然と生活世界」の二つの大きなテーマに「学問と文芸」「祭礼と芸能」など計八つの小テーマをぶら下げ、そこに「津軽一統志」などの文献や、国絵図などさまざまな古典籍を結びつけて構築する。見る人が興味や関心に応じて奥深く分け入っていくための道筋を付ける。

 キャンベル館長、弘大教育学部の戸塚学学部長、同人文社会科学部の今井正浩学部長、青森県弘前市教委の佐々木健教育長、県立郷土館の山田勝規館長が覚書に調印し、取り交わした。

 記念講演では同大の長谷川成一名誉教授が、白神山地の森林資源を弘前城下の燃料とするため、岩木川の水運を利用し大量に伐採・運搬した「流木(ながしぎ)」を巡る考察を、数々の史料を基に展開。

 キャンベル館長は、江戸の昌平坂学問所に留学していたある津軽藩士らが巻き込まれた、留学者同士の殺傷事件を紹介。同藩士が事件を克明に記録した書状が、殺された被害者の国元である佐賀藩の藩日記に転写され残っていることを指摘した。2人は、文献の森が内に抱く歴史再現のダイナミズムと、その探訪の魅力を存分に披露した。

 キャンベル館長は記者会見で「津軽は文献が豊富で、それをきちんと伝承、活用している研究者や市民も多くいる。良き結実に向け力を結集したい」と強調した。

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