いじめ第三者委“教委寄り”と不信感 大津の事件教訓に導入

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児童生徒がいじめを訴えて自殺した重大事案を調査する第三者調査委員会の問題点を、集会で報告する遺族ら(5月17日、東京都千代田区・参院議員会館)

 児童生徒がいじめ被害を訴えて自殺した重大事案で、教育委員会や学校が設置した有識者らによる第三者調査委員会に対し、遺族が「いじめと自殺の因果関係を認めない結論ありきの対応だ」と反発するケースが相次いでいる。第三者委制度は、大津市の中学2年男子生徒が2011年に自殺した出来事を教訓に、事実解明を求める遺族の願いに応えようと13年に導入されたが、「教委寄り」と映る調査手法や、委員の人選に批判が出ている。

 「第三者委の調査は、いじめが自殺の要因でないことを前提としている。学校、教委と同じ側にしか見えない」

 「いじめられたくない」「死にたい」と日記に書き残し、茨城県取手市の中学3年女子生徒が自殺した問題で、遺族の両親が5月下旬、文部科学省で記者会見を開いた。能動的にいじめを把握しようとする姿勢が感じられない第三者委に対して怒りをあらわにし、調査の中止と解散を訴えた。

 両親は独自に在校生からいじめを裏付ける証言を得て第三者委に示したが、調査で取り上げられることはなかったという。後に、市教委が第三者委設置前に「いじめの重大事案ではない」と議決していたことが判明。文科省は不適切だと指摘し、市教委は今月12日、第三者委を解散させた。

 いじめ防止対策推進法が施行された13年度から3年間で、いじめ被害を訴えて自殺した小中高生は全国で23人に上る。同法は第三者委の運営に当たり、「事実解明を願う遺族の心情に寄り添う」ことを求めている。しかし、文科省の担当者は「学校や教委が事前に説明を尽くし、遺族の納得を得て調査を進める姿勢が、ほぼすべての事案で欠けている」と指摘する。

 遺族らでつくるNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」が5月に国会内で開いた集会では、第三者委メンバーに校長や保護者代表の「利害関係者」が入ったり、遺族が加害者とみる生徒を「親の承諾がない」として調査対象から外しているなどの事案が報告された。

 推進法は大津のケースを巡り、事実解明に消極的な学校、市教委に世論の批判が高まったことで生まれた。大津の中学生の父親は「親が子を亡くしパニックになっている中、教委主導で都合よく運営する。保身としか思えない姿勢は今も変わらない」と語気を強める。

 ジェントルハートプロジェクトは学校に初動調査と報告を義務づけると同時に、事実の隠蔽(いんぺい)、虚偽報告には罰則を設けるよう推進法改正を訴えている。小森美登里理事は「第三者委が十分に機能していない。学校が情報を提供せず、遺族が真実から遠ざけられている状況を変えたい」と話す。

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