【社説】サンマ漁獲枠、物別れ 資源保護へ規制必要だ

 日本の食卓の風景が変わりつつある。水揚げが目立って減ったサンマについて、日本は国・地域別の漁獲枠新設を北太平洋漁業委員会(NPFC)に提案していたが、導入は見送られたまま閉会した。

 漁獲量を伸ばす中国、韓国、ロシアが反対したためである。しかし資源の枯渇を心配する声もある。国際的な規制を設け、乱獲を防ぐことが急務である。

 規制は来年、再協議するようだが、中韓などの姿勢は強硬で実現は見通せない。日本が中心となって、資源保護へ危機感の共有を呼び掛け、実効性ある対策を講じねばならない。

 日本のサンマ水揚げ量は、長らく年20万〜30万トンで推移してきた。ところが最近は不漁続きで2015年と16年は11万トン台へと激減した。北海道や東北、南紀の漁業者らが打撃を被っている。危機感や資源保護の観点から、国・地域別の漁獲枠新設を提案したのは妥当であろう。

 提案は北太平洋における年間漁獲量を56万4千トンまでとした上で、日本に24万2千トン、台湾19万1千トン、中国4万7千トン、ロシア6万1千トン、韓国1万9千トンを割り当てるものだ。

 だが過去10年の漁獲実績を基に設定した日本の割り当てが、16年の約11万トンから大きく増える一方で、昨年6万トン以上取った中国は減らされる格好になっている。自国に不利な制約を嫌い、猛反発したのだろう。

 一方で、遠洋漁業の国・地域である中国、韓国、台湾が漁船数を増やすのを禁じることでは合意した。今回のNPFCにおける数少ない成果の一つと言えそうだ。

 とはいえ、中国などの違法船が横行しているともいい、実効性は疑問視される。違法船の取り締まり強化が欠かせまい。

 サンマは秋の味覚として親しまれてきた魚である。ことしの北海道東沖の流し網漁は昨年に比べれば好調らしいが、先週の初競りでご祝儀相場とはいえ、1キロ40万円もの最高値が付いたという。庶民の味の代表格だった魚が、近年はスーパーなどの店頭価格も上がっている。

 不漁の原因は、中国や台湾の水揚げ増加である。中台は日本の東400キロ以上離れた公海を主な漁場とする。サンマの群れが日本近海へ回遊するルート上に当たり、そこへ大型船で先回りして数カ月間漁をしている。取った魚は船上で冷凍する。

 「爆食」と称される需要を背景に漁獲量を大幅に増やしている。その中国向け輸出を見込む台湾も水揚げを伸ばし、13年から日本を上回っている。

 日本では小型船で沿岸において漁を営み、その日のうちに帰港して鮮度の高い魚を届ける。そもそも漁法や魚の取り扱い方が大きく異なるわけだ。

 先回りして魚を取られる上、地球温暖化による海水温上昇も影を落とす。日本近海にサンマが寄りつかなくなったという。このままでは漁業者の生活が成り立たなくなる恐れもある。

 サンマに限らず、クロマグロやニホンウナギなども乱獲によって危機にさらされている。

 持続的に恵みにあずかるために、また生態系への悪影響を抑えるためにも、国際的な枠組みを設け、資源管理を進めねばならない。各国に危機感を促すとともに、受け入れられる割り当て案の検討が求められる。

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