【コラム・天風録】飛べない飛行機

 転勤族の人と一献傾けると「広島空港が遠い」という苦情をよく聞く。当方もことし、仙台便に遅れる羽目に。マイカーで山陽道を走行中、10キロ以上の事故渋滞に巻き込まれたのだ。高速道上ではリムジンバスも一蓮托生(いちれんたくしょう)である▲「遠い」と「不便」は同義だろう。仙台空港にはJRが乗り入れているから、彼我の差は明らかだ。広島でもせめて、空港に近い駅でのバス乗り継ぎを便利にしなければ、同じ百万都市でも差は開くばかりではないか▲さて、この飛行機が今世紀後半には、涼しくなるまで離陸を待つことになる―。そんな米国発のニュースが飛び込んできた▲温暖化で気温が今より4度以上上昇すると、離陸に要る揚力が不足して飛び立てない理屈だ。暑い日中に飛ぶなら、燃料や荷を減らすしかない。あるいは気温が下がってから出発する。既に米アリゾナ州では先月、超猛暑の予想で50便以上欠航した▲将来、乗り遅れたと思ったら飛行機は飛び立てないでいた、ということも考えられる。それはそれで焦る人もいよう。とはいえ、空の便が当てにならない乗り物に成り果てるとは、まだまだ想像できない。まずは広島空港の「揚力」の方が心配である。

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