戦火くぐり抜けた実物資料 8月に「『モノ』がかたる戦争展」

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展示資料の準備に取り組む福山さん。手にしているのは集束焼夷弾の部品

 戦時中の千人針や背嚢(はいのう)(リュック)、日章旗の寄せ書き、日本の都市を焼き尽くした焼夷弾(しょういだん)の部品など貴重な資料の数々−。いずれも8月13〜15日に大阪市天王寺区の近鉄文化サロン(近鉄百貨店上本町店10階)で開催される「『モノ』がかたる戦争展」の展示予定品だ。戦争体験者が年々減り、戦争の風化が懸念される中、スタッフがそれぞれの実物資料がくぐり抜けた激動の歴史に光を当てようと着々と準備を進めている。

 主催は自費出版に携わる編集者、著者らでつくる団体「関西出版ルネサンス」(会長・福山琢磨新風書房代表)。72年目の終戦の日に合わせて企画した。例年、この時期は会員各社が出版した大阪の歴史や戦争の関連書籍の展示販売を行い、来場者に好評を得ている。今年も、第30集となる全国公募の証言集「孫たちへの証言」(新風書房)など多くの書籍が並ぶ予定という。

 数年前からは著者らによる記念講演などの関連企画も手掛けてきた。会長の福山さん(83)はかねて「戦争体験者の分身ともいえる戦中資料を紹介できたら」と思案。新たな企画を練っていたところ、過去の「孫たち−」の投稿者をはじめ、多くの知人から予想以上の数を借り受けることができ、念願の戦争展開催のめどが立った。

 寄せられた資料のうち、焼夷弾の部品は、第13集の投稿者で、今年1月に82歳で亡くなった武田敏治さん=神奈川県小田原市=が所蔵していた。日本本土空襲の際、米爆撃機から数多く投下された油脂焼夷弾を38発束ねた「E46集束焼夷弾」を構成する金属板の一部。1945年の小田原空襲で、武田さんが焼失した自宅付近で見つけ、戦後も大切に保管していた。今回、遺族が福山さんからの貸し出し依頼に「故人が喜ぶ」と快諾、公開の運びとなった。

 現在は大小約50点が集まっており、今後も数は増える見込み。福山さんは「『モノ』が語る歴史の真実に触れてもらう機会となれば」と初の試みに期待を込め、会場のレイアウトなど細部の調整に取り組む。期間中は、「孫たち−」の朗読会や資料所有者による解説、資料映像の上映なども予定している。

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