旧加茂小を海学ぶ拠点に 鶴岡地元有志校舎活用計画、市に提案へ

画像

 セーリングや遠泳といった港町ならではの特色ある教育を取り入れ、地域に愛された鶴岡市加茂小が閉校して初めての夏を迎えた。住民有志の間で校舎跡地を海洋教育の活動拠点として活用する計画があり、今秋をめどに市に提案する方針。身近な海に学び、海とともに生きる教えを未来につなぐ取り組みが動き始めた。

 旧加茂小は1874(明治7)年に創立。昭和30年代に千人を超す児童が通ったが年々減少し今年3月末、142年の歴史に幕を閉じた。加茂地区の児童は現在、海を背にひと山越えた統合先の大山小にバスで通う。

 加茂小時代は地元住民が指導役を買って出て、ヨットの乗り方や最長2キロの遠泳法を子どもたちに伝えてきた。加茂地区自治振興会の会長、田中正志さん(69)もその一人。「港があって加茂水産高や加茂水族館にも近い。磯場遊びもすぐできる。海を学ぶ上でこれほど恵まれた環境はそうない」と胸を張る。

 田中さんら10人ほどの住民有志が昨年11月、海洋教育地域創生協議会を設立。閉校後も子どもたちが海に親しめる機会をサポートしようと受け入れ態勢を整えた。「鶴岡の子どもだけでなく各地から要望があれば応えたい」と意欲を見せる。

 一方、1983(昭和58)年に整備された3階建て旧校舎の跡地利活用について、所有する市は「地元、地域の意向に添った活用が最優先」と説明する。地元自治組織で活用方法を検討し、まとまった段階で市に計画案を提出するのが基本的な流れ。「海洋教育に役立てたい」とする加茂地区の考えも市に伝わっており、担当者は「積極的に関わってもらいありがたい」と歓迎する。具体的な改修や費用などは今後の検討課題だが、市も相談に応じることにしている。

 加茂水産高と海沿いの学校を会員校とする県海洋教育研究会のアドバイザーに就く佐藤淳・前会長は「海を知ることは生命、自分たちの生活などあらゆることへの学びにつながる」と海洋教育の重要性を指摘。加茂地区について「環境の良さもあるが、地域ぐるみで教えてくれる人材がいることはとても心強い」と話している。

あなたにおすすめ