福井豪雨13年、住民避難に課題

画像想定される最大規模の雨で九頭竜川、日野川が氾濫した場合に想定される浸水区域図。流域の広い範囲に被害が及ぶ可能性がある(福井河川国道事務所ホームページより)

 福井県の嶺北地域に大きな被害をもたらした2004年の福井豪雨から18日で丸13年となる。いつ襲われるか分からない風水害に備え、自治体など関係機関や住民が事前に取るべき対応を時系列で整理した「タイムライン(事前防災行動計画)」を、福井県内では国が管理する九頭竜川、北川両水系の流域6市町が策定した。自治体からは「国などとの情報共有がスムーズになる」と期待する声が聞かれる半面、対象を中小河川に広げたり、実際の住民避難にどうつなげるかが課題になっている。

 タイムラインは、台風の上陸予想時間などを基に関係機関が先を見越し連携して動くことで、避難勧告などの早期対応につながると期待されている。15年の関東・東北豪雨や、16年の台風10号による水害で高齢者や障害のある人らの避難が後手に回った教訓から、国土交通省が自治体に導入を働き掛けた。

 県内では国交省福井河川国道事務所と県、6市町でつくる「九頭竜川・北川減災対策協議会」で検討を進めた。台風の接近に伴う洪水を対象に、上陸予想時間から逆算して気象情報の収集、ダムや水門、排水機場といった施設の点検、職員配置などを進め、上陸後は状況や気象台、国の情報を基に、避難所や災害対策本部の設置、「避難準備・高齢者等避難開始」「避難勧告」「避難指示」の発令時期を図示している。

 福井河川国道事務所の田村友秀副所長(治水)は「タイムラインで対応が明確になり、想定を超える事態が起きても慌てず、やるべきことを漏れなく実行できるようになる」と強調。さらに国、県、市町が一緒に内容を検討することで「顔の見える関係をつくり、互いの対応を確認していく意味は大きい」と話す。

 小浜市は16年の台風10号接近時に、策定したタイムラインに沿って水防施設の点検を行った。

 市生活安全課の担当者は「国がどういう動きをしているかが分かり、しっかり情報共有できた」と振り返る。ただ、現在のタイムラインは簡易版という位置付けで、訓練を行いながら精度を高める必要がある。「北川は上流で降った雨がすぐに河口に到達する特性があり、水位変化の予測が難しい。支川にもそれぞれ特性があり、市としてどう地域全体を包括するものをつくるかが難しい」と指摘する。

 全国的には行政のタイムラインを基に住民版をつくる動きもあるが、県内では進んでいない。福井豪雨で避難勧告や避難指示が出た地域で実際に避難した住民の割合が約5%にとどまったという教訓もある。

 ある市町の職員は「タイムラインの有無にかかわらず、住民にいかに情報を周知し、具体的な行動につなげるかは大きな課題。地域への出前講座などで意識を高めていくしかない」と語った。

あなたにおすすめ