《ぐるっと点検ぐんま》高齢者祝い金 見直しで曲がり角

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 市町村が高齢者の長寿を祝福し、現金や金券を支給する祝い金制度が曲がり角を迎えている。群馬県内35市町村の100歳までの累計の支給状況をみると、最高額は上野村の125万円で、最少額は渋川市の8万円と16倍近い開きがある。高齢化で対象となる支給者の増加とともに市町村の負担も増し、減額や支給年齢の引き上げなど見直しの動きが出ている。

 各自治体は75~80歳に支給を始めるケースが多く、100歳でまとまった金額を支給する。高齢者の増加と厳しい財政事情を背景に、人口の多い地域での見直しが目立つ。

■個人より地域に

 本年度、金額や年齢を変更したのは前橋と玉村の2市町。前橋市は90歳と99歳、101歳以上を廃止し、100歳の祝い金を5万円から2倍の10万円に引き上げた。2016年度は6848人に7952万円を支給したが、本年度は5100人に6045万円を支給予定で、約1900万円圧縮できる見込み。市介護高齢課は「事業継続のためやむなく見直した」と説明する。

 一方、玉村町は「高齢者の居場所づくり事業など、個人ではなく地域全体に予算を使いたい」(健康福祉課)とする。90歳と101歳以上の支給額を従来の3万円から2万円に減額。本年度の対象者は前年度比28人増の144人の予定だが、支給額は27万円少ない342万円の見込みだ。

 16年度に見直したのは太田、藤岡、みどりの3市。太田市は100歳で支給する現金を5万円減の10万円にした。藤岡市は支給開始年齢を75歳から80歳に引き上げ、80歳と85歳の現金2万円をプレミアム商品券1万1000円分に統一。90歳、95歳、101歳以上の現金支給は1~3万円減らした。

■感謝の気持ち

 最高額の上野村は75歳以上に毎年1万円、100歳で100万円を支給。16年度は100歳が1人いたが、15年度と17年度はいなかった。村総務課は「人口が少ないこともあるが、慶祝と長年にわたる社会貢献への感謝の気持ちを表したい」と話す。累計で最少額の渋川市は「合併後、高齢化率が上がり、平均寿命も伸びている。時代に合った金額を支給したい」(高齢福祉課)と理解を求める。

 現金と商品券を支給するのは富岡市や榛東村など7市町村。館林市は14年度から現金支給をやめ、地元で使える商品券を支給している。市高齢者支援課は「地元に還元し、地域活性化につなげたい」と狙いを話す。(新井美認)

◎自治体 財政厳しく

 100歳を迎えると、国からは祝い状と記念品の銀杯、県からは慶祝状と県産材で作った「フォトフレーム」が贈られる。4月に100歳になったみどり市東町の高畑治平さんは「お祝い金は励みになり、本当にありがたい」と感謝した。祝い金が家族へのねぎらいとなっている側面もある。

 ただ、自治体の財政状況は厳しい。高崎経済大の天羽正継准教授(財政学)は「年金や医療費など高齢者を支える仕組みがあり、住む市町村で差があるのは望ましくない」と指摘。「高齢者を敬い、感謝する気持ちが大切なので高額な支給をやめ、記念品などで代替すべきだ。子育て支援や定住、教育など若い世代に予算を使ってほしい」と強調する。

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