<金口木舌>新たなつながりの構築を

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 新聞を手に取ると、まずは告別式広告からという人は多い。義理を欠いてはいけないという気持ちもあるだろう。地縁、血縁の結び付きの強い沖縄である▼墓や葬儀など元気なうちに死に備える「終活」への関心も高い。肉親との別れも備えることができれば、心の整理も幾分かはつくだろう。しかし、突然に家族が引き裂かれることもある

▼沖縄市の安慶名達也さんは、認知症を患った母静枝さんが6年前から行方不明になったままだ。当時66歳だった静枝さんの捜索依頼など関係機関とのやりとりに追われつつ、自ら目撃情報を捜し続けた

▼「一人歩きをさせた家族が悪い」。心ない言葉が耳に入り、引きこもりがちになったこともあった。孤立する不明者の家族が連携し、改善につなげようと、認知症行方不明者家族の会を立ち上げた

▼行政の取り組みとして見守りサービスが始まり、警察と市町村の協定締結も盛んだ。認知症患者の早期発見に向けては、個人情報の取り扱いや家族への情報の伝達など、県外先進地に比べて課題は多い

▼安慶名さんは「沖縄でも地縁が薄れる中、新たな人のつながりをどう構築するかだ」と訴える。助け合いを意味する「チュイシージー」の心の再評価も提言する。孤立しがちな人たちとどのように向き合うか。安慶名さんたちの活動はより良い社会に向けた多くのヒントを与えてくれる。

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