一生懸命な人美しい 児童文学新人賞、郡山・吉田桃子さんに聞く

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 郡山市在住の作家、吉田桃子さんの第57回講談社児童文学新人賞受賞作「ラブリィ!」が同社から発刊された。

 同作は「人は見かけが全てなの?」という普遍的なテーマを、中学2年生を主人公に、快活でさわやかに描いたヤングアダルト・ノベルス。吉田さんに創作について聞いた。◆講談社児童文学新人賞「ラブリィ!」   —「ラブリィ!」は自身何冊目? 「短編が載った児童向けの本が2016(平成28)年4月に2冊。その後、同年の小学館・ジュニア文庫小説賞の金賞を受けた『お悩み解決!ズバッと同盟 長女VS妹、仁義なき戦い!?』と同シリーズの2作目が夏と秋に出た。なので、これで5作目です」 —16年は講談社児童文学新人賞も受け成果が出た年だが、以前、2010年ごろが転機と話していた。

 「その年、講談社の賞に応募作が最終選考まで残ったが落選し『これだけ書いてだめなら、何を書けばいいのか』と思った。翌年は東日本大震災が起き、いろいろ考えることがあった。あの時、皆(何が大切なのか)本質に気が付いたじゃないですか。私も作品を読んでもらい『あー面白かった』だけではなく、読むと生きていく上でのヒントに気付くようなものを書きたいと思った」 —「ラブリィ!」は、「人は見た目だけが魅力ではない」という、扱うには難しいテーマが、さわやかに書かれた。

 「本書の『ラブリィ』という言葉は、英会話の外国人教師が、『すごい』『グッド』のような意味で使っているのと同じだと、知人に言われた。『完璧を目指すと大変だから、最良でいいよ』『あなたは、そのまま、丸ごとがいい』を表す言葉はないかとずっと考え『ああ、これだ』と思った」 —表面的に使われがちな「カワイイ」に対する言葉のような気もする。

 「人には努力では変えられない部分がある。外見の価値だけをあおるような風潮の中で、自分の容姿が受け入れられなくて摂食障害になる子もいるという。でも、無理をしなくても絶対にいいところがある。一生懸命やった人には、その人にしかない美しさがある—と信じたい。きれいごとだと言われるかもしれないけれど」◆肯定が児童文学の基本 —その前向きな考え方が吉田さんの基本? 「好きな本に黒柳徹子さんの『窓ぎわのトットちゃん』がある。主人公が通う学校には、障害のある子、そうじゃない子、いろいろな子がいるが、先生が『みんないい子』と肯定してくれる。それこそが児童文学の基本だと思っている」 —「ラブリィ!」の主人公は、ぎくしゃくしていた同級生の女子に、彼女が作ったあるものを見せられ「ラブリィ!」の意味を知る。

 「それは一つのコミュニケーション。今の子どもたちは、ネットでのコミュニケーションが多いためか、友達とけんかしたら『じゃあ、この人(と縁を)切っちゃおう』とあっさりしている気がする。主人公は、失敗しながら人との関係を修復しようとする。子どもたちも、自分が納得するまで人と向き合ってほしい」【あらすじ】主人公の拓郎は中学2年の映画少年。彼は、同級生の涼子を主役にした映画を撮り、コンクールで入選するが「主演のブス女優がいい。ラブリィ!」と講評される。当然、拓郎は、彼女が傷つかないか焦りながら、彼なりに努力するのだが、空回りばかり...。よしだ・ももこ 1982(昭和57)年、郡山市生まれ。郡山商高、日本児童教育専門学校卒。2010年、講談社児童文学新人賞の最終候補に残る。15年、福島正実記念SF童話賞で佳作。16年、小学館・ジュニア文庫小説賞で金賞、講談社児童文学新人賞を受賞。趣味は「小津安二郎などの古い映画観賞」。郡山市在住。35歳。

 

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