[大弦小弦]逆境にめげず、沖縄で生きる人々を撮り続ける写真家の石川真生さん(64)が…

 逆境にめげず、沖縄で生きる人々を撮り続ける写真家の石川真生さん(64)が、最も進行度の高い「ステージ4」のがんと闘っている(12日付社会面)。12時間の摘出手術後、病床で撮ったビデオメッセージがネット上で公開されている

▼弱々しい声、やせ細った体、そして痛々しい手術痕。ここまで自分をさらけ出すのかと直視できなかった。がん手術は3度目。「今回はしんどかった」と明かす

▼「醜いだけの人も、美しいだけの人もいない」が信条だ。撮ると決めた人と全身で向き合い、信頼関係を築いてから撮影する。だから発表までに時間がかかり、いつもお金がない

▼初めて真生さんの写真を見たのは24年前、レールの音が響き渡る東京・中野駅のガード下で。心に傷を抱えて生きる戦争体験者の姿が展示されていた

▼それが今、11月にパリで開かれる世界最大の写真見本市に出展が決まるなど、海外でも注目を集める。作品の精神は何も変わっていない。周囲の評価が変わったのだ

▼有志が「生きろ!撮れ!石川真生!」計画を立ち上げ、治療費と9月に那覇市で開く写真展に向けた計250万円の資金協力を呼び掛けている。ビデオの中で真生さんは語る。「写真の神様が与えてくれた命。早く現場に戻りたい」。あの元気な声で、また触れ回ってほしい。「私の写真、見れ見れ」と。(磯野直)

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