マラリア:検査・治療をもっと身近に――各地域に救護所を設置

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ルムコルのボランティアたちと打ち合わせをするMSFスタッフ

スーダン南スーダンが領有権を争うアビエイ特別行政区のアゴクで、国境なき医師団(MSF)はマラリア救護所(CMAP)の設置を進めている。救護所を各地域に設置することで、検査と治療を自宅の近くで受けられるようになる。徒歩で何時間もかけて病院へ行く必要もなくなる。

この取り組みは2017年で3年目。重症マラリアの患者数やマラリア関連死の件数を減らすことに加え、早期発見・治療の進めることも目標としている。

CMAPプロジェクトは、2015年に発生したマラリアの集団感染と重症化への対応として始まった。アゴクでマラリアプロジェクト・チームリーダーを務めるタラ・スミスは「地域内での検査・治療を可能とし、重症化してから長距離を搬送されてくるケースをなくすことが目標です」と話す。

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生死をわける数時間

2017年は22村がプロジェクトに参加し、1村あたり2人が選出されて研修を受けている。また、MSFは迅速検査キットや治療薬を提供している。重症の患者は地域の1次医療施設か、アゴクのMSF病院に移送される。2016年は4万人が自宅地域で検査と治療を受けた。

「多くの村では、雨期になると病院へ行くことすら難しくなります。運ばれてくる場合でも、患者は毛布かシートにくるまれ、何時間もかけて歩いていくのです」とスミスは話す。さらに交通の便が悪い地域からは、距離が遠すぎたり、雨で道がぬかるんでいたりして、病院へ行くことが不可能になることもある。

「数時間が生死の境となることがあります。特に夜間は『夜明けを待って病院に行く』という選択肢しかありません。しかし、それほど難しくない方法で予防・検査・治療ができるはずの病気のために、雨期に数時間もかけて病院へ行くような生活は受け入れ難いものです。数時間あれば、畑を耕し、教会に行き、家族の世話をする"普通の生活"が送れるのですから」

住民ボランティアと連携

マラリアは高熱とひどい体の痛みのほか、腹痛や下痢を引き起こす場合もある。重症になると神経症状、貧血、出血を引き起こし、やがて死にいたる。ルムコル出身のボランティアで、このプロジェクトには2015年から参加しているマリアイ・マティアンさんは「このプロジェクト以前は、私たちは何日もかけて子どもを診療所へ運んでいたものです」と振り返る。「例えばある援助団体が医薬品を提供してくれるというなら、私たち住民はお申し出をありがたく受け、援助団体の活動をサポートするべきだと考えています」

MSFの研修により、住民たちはマラリアの症状を見分けることができるようになり、早い段階で医療施設へ搬送する傾向になっている。マラリアは進行が非常に速く、以前は多くの人が地域で亡くなっていた。1次医療施設へ行くことが常に可能というわけではなかったからだ。現在は1次医療施設へ行かなくてもごく簡単に治療できる。

スミスはボランティアから「同じ南スーダン人を助けたいだけ」という言葉を何度も耳にしたという。「これが人びとにとって互いの健康を気遣う原動力となっています」

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