【新所長インタビュー】〈新日鉄住金広畑製鉄所・福田和久執行役員〉「関西薄板基幹ミルの役割高める」

「つくる力を再構築」

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――抱負をお聞かせください。

 「広畑は、全社最適生産体制の中で、関西・中四国の薄板基幹ミルとしての役割を担っているが、この地域への出荷増とグループの日鉄住金鋼板への供給も含めて、ほぼフル操業が続いている。その中でお客様の負託に応えるべく製造実力の強化、『つくる力』の再構築を図っていきたい。ベースとなるのは『安全・環境・防災』。ここをしっかりさせ、人と設備に力を入れていくことで『つくる力』を鍛え上げていきたい」

新日鉄住金・広畑製鉄所 福田執行役員

 「就任挨拶でも、まず1点目は『安全最優先』。安全・環境・防災が第一優先で、品質は第二優先、生産は第三優先の順番をしっかり守ること。2点目が『現場力の向上』。現場には、設備・操業の技術ノウハウが詰め込まれている。安全・環境・防災も、品質も、安定生産も、コスト改善も、技術開発も、すべての根幹が現場にある。必要なのは現場をよく知ること。3点目は『仕事の仕方』。オーナーシップ、当事者意識を持って仕事に取り組む。何がベストか常に考え決して諦めない。問題を自分のことと捉え一人称で考える。課題解決に向け組織の垣根を越えて動くこと。4点目は広畑のDNAを継承し、技術先進性を追求すること。『安全実力向上』と『品質&生産の安定化』を早急に実現してベースを整え、現場力を磨き実力を蓄え、鉄鋼業をリードする『プロセス技術、製品技術、新商品』に取り組んでいきたい。そして10年後、20年後の広畑をどうするか、広畑の未来を一緒に考えていく。そのために自由闊達に本音で議論し、明るく楽しく仕事をしていきたいと話した」

――安全対策の具体的な取り組みは。

 「機械安全対策と繰り返し災害の撲滅を徹底している。各工場に安全専任者を配置し、毎朝の対話とパトロールを通じて課題ある職場への対策強化など進めている。従業員数は社員約1200人と協力会社合わせて約5千人。この5千人を対象に安全対策を強化徹底している」

――生産状況は。

 「鋼材生産は年間約270万トン。熱延、冷延、電磁鋼板などほぼフル生産で忙しい。国内出荷比率が3分の2で自動車、電機、建材とも元気がいい。自動車30%、電機20%、建材20%。輸出が残り3分の1で、このうち80%がアジア向け。中国40%、アセアン40%」

 「冷鉄源溶解の粗鋼生産量は年間80万トン。残りの200万トンは大分、和歌山、名古屋からスラブを受給している。冷鉄源による粗鋼は、短工期品、小ロット品、粗鋼一貫製造品種に振り分けている」

――現中期経営計画は最終年度。

 「歩留まり改善・コスト低減などほぼ計画通りに進んでいる。それと合わせ、品質対応力向上や新商品開発にも注力しており、顧客信頼を高めるための一貫管理体制の強化や、広畑独自製品のスーパーニッケルやスーパーダイマ、電磁鋼板などを軸にフル生産していくことを掲げ、技術開発など進めているが、これも計画通りに進んでいる。つくる力を高めていくために、設備の網羅的点検と、稼働30年を経過している熱延ミルやF.I.P.L.(完全連続冷延鋼板製造設備)など長期稼働設備および付帯設備の長周期劣化対策もしっかり取り組んでいく。薄板マザーミルとしてのつくる力をしっかり担保し、技術先進性の追求をさらに深化していきたい」(小林 利雄)

プロフィール

 入社以来ほぼ一貫して広畑勤務。製鋼畑出身で転炉など製鋼設備を担当。冷鉄源溶解、RHF(回転炉床式還元炉)など「新鉄源プロセス」確立に尽力し「リサイクル製鉄所」の礎を築いた。圧延や商品技術・開発など生産技術も担当してきた。「明るく前向きの人」が部下評。「行くに径(こみち)に由らず」を座右銘に、厳しい状況でも正々堂々、王道を歩むことを心掛ける。趣味は月10冊近くの読書。書店での本探しが至福の時間。所では柔道、野球の強化にも気を配る。

 福田 和久氏(ふくだ・かずひさ)86年(昭61)慶大院機械工学修了、新日本製鉄(現・新日鉄住金)入社。広畑製鉄所勤務。2009年広畑・生産技術部生産技術グループリーダー、10年八幡製鉄所設備部長、13年広畑・生産技術部長、14年同・副所長、15年執行役員安全推進部長、17年4月同広畑製鉄所長。60年(昭35)12月生まれ、56歳。愛媛県出身。

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