【Q&A】「イスラム国」からモスル奪還

各地のテロは当面続くか

©一般社団法人共同通信社

イラク北部モスルの「解放」を喜ぶ市民=9日(ロイター=共同)
イラク北部モスルの「解放」を祝うイラク治安部隊=9日(ゲッティ=共同)
イラク・モスル、シリア・ラッカ

 イラク政府が、過激派組織「イスラム国」(IS)が占拠していたイラク北部のモスルを解放したとし、「虚構の国」は崩壊したと勝利宣言しました。国際社会にとっての課題であるIS掃討作戦の大きな節目となりました。今後はISが「首都」と称するシリア北部ラッカの奪還が焦点です。

 Q モスルとはどんな町ですか。

 A 首都バグダッドに次ぐイラク第2の都市で、2015年の推定人口は170万人です。14年7月にIS指導者のバグダディ容疑者が初めて公の場に姿を現した礼拝所もあり、ISの重要拠点となっていました。イラク軍などは昨年10月にモスル奪還作戦を始めましたが、ISは市民を「人間の盾」として立てこもったため作戦は長期化しました。その過程で、逃走しようとして撃ち殺されたり、米軍やイラク軍による空爆で死亡したりした市民も多くいるようです。

 Q ISはシリアなども広く支配していたのですよね。

 A ISが今後弱体化することは決定的ですが、今年6月時点でもまだ、台湾と同規模の約3万6千平方キロを支配していたとの分析もあります。しかし15年時に比べると支配領域は4割程度に縮小しました。戦闘員も15年にはシリア、イラクに2万~3万人いるとされていましたが、昨年末時点で1万2千~1万5千に減ったとみられています。資金面でも15年には支配領域での「税収」などで月8100万ドル(約92億円)を得ていましたが、17年には8割減の1600万ドルに落ち込んだとの調査もあります。

 Q 世界各地でのテロはなくなるのですか。

 A 組織は崩れていくとみられますが、ISが世界各地の信奉者を扇動してテロを起こし、犯行声明を出すようなケースは当面続くでしょう。さらに中東地域では、イスラム教スンニ派とシーア派の宗派対立、内戦や国の統治能力の脆弱性といった、IS台頭を招いた素地は残されたままです。根本的な改善がないと「数年のうちに次の過激派組織がやってくる」(モスル市民)という心配は打ち消せません。

 Q ラッカ奪還はどうですか。

 A モスルでの勝利で現実味を帯びてきました。鍵は、米国とロシアを軸とする国際協調ですが、各勢力の利害がぶつかるシリアではそれが不足していると言われています。奪還までどの程度の期間を要するかは見通せません。

あなたにおすすめ