小学校道徳教科書初採択へ 19日から神奈川県内各教委

 【時代の正体取材班=成田洋樹、松島佳子】2018年度からの道徳教科化による初めての小学校教科書採択が、19日の鎌倉市を皮切りに県内各自治体教育委員会で始まる。文部科学省は「考え、議論する道徳」として特定の価値観を押し付けない考えを示しているが、教育関係者は「集団生活でのルールの徹底を求める従来型の教材が多く、特定の答えを誘導する設問が少なくない」と指摘している。

  2011年の大津市いじめ自殺事件を受け、安倍晋三首相直属の「教育再生実行会議」が13年に教科化を提言して実現した経緯がある。今春の教科書検定で合格した8社すべてに、いじめについて考える教材が盛り込まれた。

 評価は数値でなく記述式で行われるが、学校現場には「子どもの内面を評価することにならないか」との懸念が強い。

 戦前は道徳に相当する「修身」で教育勅語が教えられ、軍国主義の礎になった。戦後は1958年の学習指導要領改定で「道徳の時間」が導入された。学校現場には2002年度から文科省作成の副読本「心のノート」が、14年度からは後継の「私たちの道徳」が配られている。教科化によって教科書の使用が義務付けられる。対象は1〜6年生で、授業時間数は現行と同じ原則週1時間。

 19年度から教科化される中学校道徳の教科書採択は、教科書検定を経て18年度に採択される。【神奈川県内の道徳教科書採択予定日】〈7月〉19日:鎌倉市20日:綾瀬市21日:相模原市、海老名市、箱根町、真鶴町、湯河原町、清川村24日:愛川町25日:厚木市26日:横須賀市、座間市27日:平塚市、大和市、伊勢原市、南足柄市、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町28日:二宮町〈8月〉1日:小田原市2日:藤沢市、3日:茅ケ崎市、三浦市、葉山町4日:寒川町8日:逗子市〈未定〉川崎市(8月予定)、横浜市(8月予定)、秦野市、大磯町

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