僅差の難しさと緊張感。スーパーフォーミュラ&JSB1000ツインリンクもてぎ戦プレビュー

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 8月18~20日にツインリンクもてぎで開催される『ツインリンクもてぎ2&4レース』。国内最高峰のフォーミュラレースと二輪ロードレースが同時に楽しめる1戦だ。4月の鈴鹿以来の2&4レースではどのようなドラマが待っているのか。

■2年連続の2スペックタイヤ

 先日、第3戦を終えたスーパーフォーミュラは次戦、第4戦をツインリンクもてぎで迎える。昨年のツインリンクもてぎ戦ではシリーズ初となる2スペックタイヤを導入したが、今年もヨコハマタイヤ&JRPは新開発のソフトスペックタイヤの導入を決定。昨年のソフトタイヤよりも1周で0.5~0.8秒速いという新タイヤでどんなレースを迎えるのか。

 今シーズンのスーパーフォーミュラは相変わらず、いや、昨年以上にタイム差が僅差で、予選時はアタック時の風向きひとつでも順位が大きく変わってしまうくらいの大接戦。ポイントランキングでも19人中、15人がポイントを稼いでいる混戦状態と、とにかくチーム、ドライバーにとっては厳しい戦いとなっている。シーズンの折り返しで注目される第4戦ツインリンクもてぎ戦のポイントを、ドライバーたちに聞いた。

塚越広大(REAL RACING)

 まずは、ツインリンクもてぎはホームコースでもある栃木県出身の塚越広大。塚越とトップフォーミュラと言えば、2009年の雨あがりの一戦。予選3番手から小雨の中、スリックタイヤで驚くような走りを見せた。結果は4位ながら、未だに語り継がれるレースのひとつになっている。そんな塚越は、今年のツインリンクもてぎ戦をどう戦うのか。

「今年に限った話ではないですが、スーパーフォーミュラはすごくタイムが接近していて、ほんの少しの差で順位が大きく変わってしまうのが難しいとこ ろだと思います。コースによってすごく良いと思っていたところが、違うコースに行ったら合わなくなってしまうところもありますので、ツインリンクもてぎでのレースも、そのあたりを短い時間でセットアップしていくかが難しいポイントですね」

 塚越が話すように、金曜と土曜、そして土曜と日曜でまったく順位が異なってしまうのも、現在のスーパーフォーミュラの特徴だ。タイムが僅差なだけに、その時点で路面コンディションとセットアップがマッチしたドライバーが上位に上がりやすい傾向がある。

「夏のツインリンクもてぎでのレースは、地元ということもあり、気合が入る一戦でもありますよね。他のコースと比べると、タイム差が出にくいサーキットのひとつではあるので、より僅差の戦いにはなると思います。ここ最近でいうと、鈴鹿では好調でポイントを獲ったりしたこともあったのですが、もてぎはなかなか上位に食い込めていないコースなんです。地元でいい活躍をしたいという思いもあるので、しっかりと表彰台争いに食い込みたいと思っています」

 第3戦富士ではホンダエンジン陣営のマシンはトヨタエンジン勢に直線で離されてしまう傾向も見られた。ホンダ陣営としてはドライバーの腕だけでは厳しい面もあるが、塚越はもちろん、そんな弱音は吐かない。

「夏のもてぎはかなり暑いので、観戦される皆さんも大変だとは思いますが、それを忘れるくらい、いい走りができるようにがんばりたいと思っています」と塚越。このツインリンクもてぎ戦をきかっけに、今季開幕戦以来のポイント獲得、そして表彰台を目指したいところだ。

 一方、トヨタエンジン勢で現在、ランキングトップの石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)にとっても、今年のスーパーフォーミュラの難しさ、そしてツインリンクもてぎ戦の難しさはまた、他のレースとは別格のようだ。

石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)

「今年のスーパーフォーミュラは、どう見ても難しいですよね(笑)。セッションごとに誰が上に行くのかも分からないし、タイヤのおいしいところを使うのが難しい。コース特性によってうまく使えたり使えなかったりするので、みんながそれぞれ今もっているベースのセッティングが、そのコースで合うかどうかは、行ってみないと分からない部分があるんです」と石浦。

「セッションごとに入れ替わりが激しいので難しいのですが、そのなかで1年間アベレージにしたときに、ランキングで上にいるというのが、ドライバーとエンジニア、チームの力だと思っています。悪いながらも踏みとどまらなければいけないのが難しさですね」

「昨年のもてぎでは予選2番手でしたが、あの頃スタートに悩んでいたこともあったので、アンドレ(ロッテラー)に抜かれて3位でした。表彰台で終われるかどうかが毎レース大事なところなので、最低限のレースはできたと思うんです。でも、1年振り返ってみるとやはり2位だったら結果が違った。今年はそのあたり、予選だけじゃなく全体を詰めていけるようにしているので、昨年の反省をうまく活かしたいですね」

 とは言いつつも、リザルトを見る限り、ツインリンクもてぎを得意にしている石浦。

「じつは僕はもてぎはいつも得意で、3年連続で表彰台に乗っています。かなり暑いレースなので体力的に厳しいのですが、そこは体力の見せどころ。2015年みたいにポール・トゥ・ウインを決めようとたくらんでいますので、ぜひそれを観に来てください」

 レースで投入されている2スペック目のソフトタイヤは、最終的なバージョンはまだ、誰も試していない。金曜日の走行で装着するのがほとんどのドライバーにとって初めてになるだけに、まったく予想のできない展開、シチュエーションが第4戦ツインリンクもてぎで起こる可能性がある。

 いずれにしても、僅差の接戦になることは間違いない。当日に臨機応変な対応をするためにも、ドライバーとチームの第4戦ツインリンクもてぎの戦いはもうすでに始まっている。

■もてぎ2&4初のJSB1000クラス開催

 ツインリンクもてぎで第4戦スーパーフォーミュラとともに併催される全日本ロードレース選手権第6戦。2016年まで第6戦もてぎ2&4の開催クラスはJ-GP2だったが、2017年シーズンはJSB1000に変更された。6月に行われた第5戦以来、約2カ月ぶりのレースとなる。

 現在、JSB1000クラスのランキングトップは津田拓也(ヨシムラ・スズキMOTULレーシング)。しかし、今シーズンのJSB1000クラスのチャンピオンシップは混迷を極めている。

 絶対王者、中須賀克行(ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チーム)が3戦連続で転倒したことでランキングはまさかの17位。中須賀に代わってタイトル争いを演じているのは、津田、そして渡辺一馬(カワサキ・チームグリーン)、高橋巧(MuSASHi RT HARC-PRO.ホンダ)だ。

 95ポイントの津田から3位につける高橋までのポイント差は僅かに3ポイント。JSB1000クラスが残り5レースであることを考えると、この差はほぼないに等しい。

 ポイント差を考えれば、チャンピオン争いは最終戦鈴鹿までもつれることは間違いない。タイトル獲得へ向けて後半戦をいい形で迎えたいライダーたちによって、第6戦ツインリンクもてぎ2&4はこれまで以上に激戦が予想される。

津田拓也(ヨシムラスズキMOTUL)

 後半戦をランキングトップで迎えるのは、2017年フルモデルチェンジを果たしたスズキGSX-R1000を操る津田だが、前半戦は我慢のレースばかりだったのだという。

「(第2戦鈴鹿で)ステップが取れたり、トラブルがあったりしたなかでのレースでした。攻めのレースっていうのはできていないんです。第4戦もてぎでは体調不良で40度の熱があって、薬で熱を下げながらのレースウイークでしたし。そういうかみ合わなかった部分を、後半戦で合わせていきたいです」

「毎年チャンピオンを目指してやっていますが、今回は運よく周りの脱落にも助けられる形で、シーズンの折り返しをこういうフラットな状態で迎えられます。誰もがチャンピオンを狙える位置にいるので、リスタートする気持ちでヤマハやホンダに挑んでいけるバイクを造りたいですね」

 ランキング2位につける渡辺は2017年シーズン、ホンダからカワサキにマシンを乗り換えた。未勝利ではあるものの、表彰台を2回獲得するなど堅実にポイントを重ねている。渡辺は今シーズンを戦う改良型カワサキZX-10RRについて「とてもいいバイク」と評価する。

渡辺一馬(Kawasaki Team GREEN )

「違和感などは全くなく、とてもいいバイクだなと思って乗れています。ただ、まだ最大限のパフォーマンスを引き出しきれてないんじゃないかなとも思います」

「もっといい走りができるバイクだと思うので、僕がライダーとしてもっとあのバイクのいいところを使って引き出してあげたいなとは思っています」

 新型となったホンダCBR1000RR SP2で2勝を挙げているランキング3位の高橋は、第5戦オートポリスではマシントラブルによりリタイアとなったものの、「前半戦はいい形で進められていた」と言う。

高橋巧(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)

「前半戦で2勝できて、新型のポテンシャルみたいなのも証明できていたと思います。ただ、真っ向勝負して勝ったレースがないので、しっかり勝負していたらどうなっていたかわからないですね」

「(チャンピオンシップの)ポイント差としては3ポイントくらいしかないので、まだ5レースあるし、心配はしていないです。最初の3戦で差を広げたので、そのままいきたかった気持ちはありますが、そこはまた(気持ちを)切り替えていきます。1戦1戦勝てばチャンピオンが獲れると思うので、優勝だけを目指していきたいですね」

中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)

 一方、不本意な成績に沈んだディフェンディングチャンピオン、中須賀は後半戦に向けていい形で前半戦を締めくくることができたと語る。

「調子は悪くないです。ただ、タイヤが16.5インチから17インチになったことが、16.5インチで造り込んできたバイクと、僕自身のライディングスタイルに合わなかったのだと思います」

「でも、第4戦もてぎから少し仕様変更をして、それがオートポリスでの結果に結びついた。これは後半戦につながるいいレースだったんじゃないかなと思います」

「今年はチャンピオン争いとしては非常に厳しくなりましたが、まだまだ諦めていません。1戦1戦勝ちにこだわってやっていきたいです」

 ヨシムラの津田、カワサキの渡辺、ホンダの高橋の三つどもえに、ヤマハの中須賀がどう食い込んでいくか。後半戦の序章となる全日本第6戦ツインリンクもてぎ2&4から目が離せない。

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