過去最低の返上なるか 横浜市長選の投票率 選管、若者に次々PR

 30日投開票の横浜市長選の投票率の行方が注目されている。“無風状態”だった上にお盆が重なり、過去最低だった前回(29・05%)に対し、今回はカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致の是非などの争点化を狙う新人2人が現職に挑む構図。各陣営は関心の高まりに期待する一方、「全然盛り上がっていない」との声も。市選挙管理委員会は投票率が低い若者に特に照準を合わせ、啓発に必死だ。■懸念 「今回の投票率はどうも低いんじゃないかと言われている。若い人に行動を起こしてほしい」。17日夜、京急線上大岡駅前で新人の伊藤大貴氏(39)が訴えた。「組織票がなく、投票率が上がるほど勝算も上がる」(陣営幹部)だけに、スタッフは投票日を大きく書いたTシャツを着て投票を呼び掛けている。現職の林文子氏(71)の陣営も「前回を少しでも上回ればいいが…」と盛り上がりに欠ける現状を懸念する。

 一方、新人の長島一由氏(50)は「市民はカジノの誘致に危機感を持っている。10ポイントは上がるのではないか」と期待。街頭では「(カジノ誘致の是非を問う)事実上の住民投票だ」と訴える。■切実 「何とか前回を上回りたい」。市選管の願いは切実だ。投票率は統一地方選から分離した1978年を機に大幅下落し、衆院選と同日だった2009年を除き32〜39%で推移。自民、公明、民主(当時)の3党が推薦した現職の林氏と、共産党推薦の新人による事実上の一騎打ちだった前回はついに30%を切った。

 今回は選挙期間を選択できる中で最も早くに設定し、夏休み本番の8月を回避。さらに、特に投票率が低い若者対策に力を入れる。前回は20代の投票率が15・41%にとどまり、全体の投票率を引き下げたからだ。■拡散 今回は18歳選挙権となって初めての市長選となることも踏まえ、啓発キャラクターに地元出身で若者に人気のお笑いコンビ「トレンディエンジェル」の斎藤司さんを起用。市内在住、在学の大学生らで構成するキャラバン隊が斎藤さんの等身大パネルとともに市内各地で活動し、写真がインターネットで拡散することを狙う。「“炎上”しては困るが、話題になることが目的」と市選管。市内全ての高校に横断幕とポスターの掲示も依頼。ツイッターの本格活用も始めた。

 「そもそも20代の有権者数は比較的少ない上、さらに投票率が低いとダブルパンチ。若者の声が市政に反映されなくなる」と危機感を示し、「若者の底上げを図りながら全体の率を上げたい」としている。

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