FGT導入遅れ1年以上

 2022年度の九州新幹線長崎ルート暫定開業時に予定しているフリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)の先行車導入について、国土交通省は19日、1年以上遅れる見通しを明らかにした。車軸の摩耗そのものを消す対策が明確に見つかっておらず、「1年か2年かも分からない」と曖昧で、量産車導入による25年度の全面開業も年単位で遅れる見通し。

 県庁で本県関係者に開発状況を説明した後、同省鉄道局の江口秀二技術審議官が報道陣に示した。

 検証走行試験の分析では車軸摩耗が複数見つかり、60万キロの耐久走行試験に耐えられないと判断していた。審議官によると、今後は摩耗対策で車軸を覆うメッキを厚くし加重をかけて実験する時間などがかかり、「2カ月、8カ月など月単位では難しい」。このため先行車導入も、全面開業の時期もずれ込む。

 山陽新幹線への乗り入れについては「基本的にはJR西日本、JR九州がどう考えるかにある」とした。全線フル規格化を含めた選択肢については「FGTを前提に新幹線工事を認可した」と否定的な姿勢を示し、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの検討委の議論を見極める意向を示した。

 説明会後、中村法道知事は取材に「(摩耗は)メッキを厚くしてすべて解決できるのか。スケジュールの見極めが難しい」と開発の行方を不安視。JR九州が25日に与党検討委に示す見解や、沿線自治体の意見を踏まえ、28日に県の意見を検討委に示す考え。全線フル規格化を求める選択肢も現時点では排除しない意向も示した。

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