中朝国境付近で大雨、被害相次ぐ…北朝鮮の状況は不明

中国吉林省の延辺朝鮮族自治州では、梅雨前線の影響で雨が降り続き、各地で浸水などの被害が発生している。

延辺日報によると、19日20時から20日16時までの降水量は龍井72.7ミリ、安図68.6ミリ、和龍58.7ミリなどとなっている。降水量が100ミリを超えた観測地点が32カ所あり、50ミリを超えた地点は234に達する。豆満江の支流の嘎呀河の一部では水位が警戒レベルを超えて上昇を続けている。

今回の雨で、各地では住宅地、農地の浸水や、堤防の決壊、橋の流出が相次いでいる。また、州内では20日午後11時の時点で、9235人が避難している。延辺と長春、黒竜江省の牡丹江を結ぶ鉄道も運転見合わせとなった。

大災害の懸念

龍井市防汛抗旱総指揮部によると、市内中心部と老頭溝鎮、開山屯鎮など、市内の多くの地域で大雨が降ったため、20日午後4時30分、防災Ⅲ級応急計画を発動し、警戒にあたっている。これらの地域は、昨年8月末の台風10号(ライオンロック)で甚大な被害が発生した地域だ。

中国でこれほどの被害が出ているということは、川向こうの北朝鮮の状況も懸念される。防災インフラが整っておらず保水力の落ちたハゲ山の多い北朝鮮では、この程度の雨でも大災害につながることがあるからだ。

朝鮮中央テレビの20日夜の天気予報では、21日にかけて北部を中心に最高で80ミリの雨が降ると予測し、20日午前5時からの1時間で新義州(シニジュ)には35ミリの強い雨が降ったと伝えているが、被害の有無については触れていない。

中央気象台によると、雨の中心は中朝国境沿いに西に移動し、白頭山から鴨緑江沿いの地域で23日午前まで降り続く見込みだ。

© デイリーNKジャパン