FFG・十八統合無期延期

 ふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)と十八銀行(長崎市)が、目標としていた10月の経営統合について、時期を定めず再延期する方針であることが21日、分かった。公正取引委員会が問題視している県内の寡占化を解消する方策を巡り、公取委と折り合うめどが立っていないため。

 来週中に正式発表する。銀行側は「引き続きやれることはすべてやる」とし、統合時期は審査通過のめどが立った段階で決める考え。ただ最後までめどが立たなければ断念する可能性は「ゼロではない」(関係者)という。人口減少などで地銀の経営環境が厳しさを増し、各地で再編の動きも活発化する中、審査の行方は今後に影響を与えそうだ。

 両社は昨年2月、統合に基本合意。十八銀は今年4月にFFGの完全子会社となり、来年4月にFFG傘下の親和銀行(佐世保市)と合併予定だった。だが独占禁止法に基づく公取委の審査は難航し、今年1月に半年延期を発表。今回も半年単位での延期が検討されたが、現状では時期の明示は困難と判断した。

 十八、親和の県内の事業性貸出金は計約1兆円で、シェアは約7割と全国的にも極めて高くなる。続く長崎銀行(長崎市)で数%だ。公取委は健全な競争が阻害され、金利の高止まりやサービス低下で取引先に不利益を及ぼす可能性が出ると懸念。銀行側は「経営基盤を強化し、サービスを向上させる」とするが、主張は平行線をたどっている。

 審査では現在、少なくとも2割程度のシェアを持つ競争相手を生み出せるかが焦点で、十八、親和から他行へ2千億円規模の貸出債権譲渡が必要とみられる。

 だが、十八、親和が両行と並行して取引している企業に意向調査し、メイン行の立場を維持できる範囲で譲渡可能額を試算したところ数百億円にとどまった。譲渡先を決める必要もあるが、具体的に進んでいない。銀行側は「顧客の意向に反することはしない」として譲渡額の上積みには消極的で、第三者による金利などの監視体制整備といった追加対策も公取委に示しながら理解を得たい考えだ。

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