変り種のタコスを食べ歩き

 メキシコ料理のタコスを佐世保の知名度向上と観光客の誘致につなげようとこの春発足した「SASEBOタコスLAB(ラボ)」。タコスと言えば、煮込んだ牛ひき肉やとり肉、キャベツ、トマトなどをトウモロコシや小麦粉で作る薄い生地(トルティヤ)に挟み、サルサソースをつけて食べる軽食だ。発足から3カ月。「変わり種がどんどん出ているらしい」。そんな話を聞き、食べ歩きをして盛り上がりつつある"佐世保タコス文化"を味わった。

 まず向かったのは「たこやきとしちゃん」。「たこ焼き屋にタコス?」。全くイメージが結び付かない。店主の山口利一さん(51)はラボメンバーの呼び掛けで「自分でも参加できるんだ」と挑戦した。

 出てきたのは「たこタコス(500円)」。トルティヤにたこ焼き、キャベツ、トマトを乗せ、ウインナーやチーズを気まぐれでトッピング。マヨネーズの種類も選べる。「そのまま食べてもよし、巻いて食べるもよし。お好きにどうぞ」と山口さん。「そのまま食べたら普通のたこ焼きだよね」と巻いてみたが、なかなかたこ焼きにたどり着かないほどのボリューム感に満足。「タコスサラダ(300円)」もある。

 続いて向かったのは「情熱鉄板!お好み焼きSHIN」。またも"粉物"の店だ。なのに出てきたのは「佐世保バーガーinタコス(500円)」。「一体ここは何の店?」  「佐世保でおなじみのバーガーを使ってタコスを盛り上げよう」と開発した店長の鴨川武征さん(31)。ハンバーガーのパテ、スライス玉ネギにトマト...。「ほとんどバーガーじゃん」。と思いきや、トルティヤに千切りキャベツをたっぷりのせ、鉄板で生地はパリッとキャベツは程よくしんなり焼き上げる。タバスコをかければビールにぴったり。「まさにバーガーとタコスのいいとこ取り」  最後は日本酒BAR「TIME」の「wahoo!タコス(400円)」。「佐世保を盛り上げたい」と作った店主の田中勝さん(32)。米粉の生地に、具材は甘辛く煮付けた大豆そぼろ、トマト、玉ネギ、キュウリ。ソースは、みそと清酒「六十餘洲(ろくじゅうよしゅう)」の酒かす、お酢で仕上げた奥深い味わい。すべて手作りにこだわった、酒に合う、飲まない人でも楽しめる一品だ。「後味にほんのりまろやかな酒の風味が広がる広がる~」  ラボの吉村ひさ子さん(62)は「どんなタコスでもいい。多くの店に自由に作ってもらい、どこに行っても食べられる町にしたい」とさらなる広がりに期待を寄せる。

 満腹になったところで考えた。「なんでもありが佐世保のいいところだよね」。ブームになる予感。ごちそうさまでした。

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