諫早大水害SNSで伝承へ

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 1957年7月25日の諫早大水害の記憶を伝えようと、長崎大の院生や学生が諫早市内に残る水害遺構や体験者を調査し、SNSでの伝承研究、開発に着手した。大水害から60年。高齢化に伴う体験継承が危ぶまれる中、水害を知らない世代に情報発信し、防災意識を高めてもらう狙いがある。

 学生自らが提案したテーマで問題解決に取り組む同大工学部の本年度の「創成プロジェクト」の一環。諫早大水害に関する研究は、大学院工学研究科1年の杉本大志さん(23)と工学部1年の中山拓也さん(19)の2人が担当する。

 指導教官の高橋和雄名誉教授によると、諫早市内には大水害と江戸時代の洪水を伝える慰霊碑や水位標が計14カ所あるが、82年の長崎大水害の碑に比べて少ない。諫早大水害を鮮明に記憶する世代が70代以上であるため、聞き取りの"正念場"と考え、調査に入る。

 神戸市出身の杉本さんは阪神大震災後の災害教育を受け、「諫早大水害について知らなかったが、防災に興味がある」と話す。大村市出身の中山さんは「近年、全国各地で水害があり、しっかりと対策を打つ必要性がある」と意欲を見せる。

 今後、諫早大水害の被害を受けた地域を選んで実地調査を行った後、情報技術(IT)などを活用して発信方法を検討する。

 同プロジェクトはこれまで「モバイル災害遺構」(2016年度)や「IKOUさるくマップ(長崎災害遺構マップ)」(13年度)などを開発。モバイル災害遺構はインターネット上で長崎大水害の災害遺構を紹介するとともに、避難所や防災情報を提供。さるくマップはグーグルマップを活用し、災害遺構の位置などが表示される。

 高橋名誉教授は「当時の記録を伝えるのは被害を受けた土地の責任。同じことを繰り返さないために人々の記憶をつなげておく必要があり、開発した作品を行政が引き継いで活用してほしい」と話している。