やまゆり園事件「一生忘れない」 横浜、知的障害者が追悼集会

 【時代の正体取材班=成田 洋樹】相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で発生した殺傷事件から1年を迎えるのに合わせ、知的障害者の当事者団体「ピープルファースト横浜」は22日、犠牲者19人を追悼する集会を横浜市保土ケ谷区の上菅田地域ケアプラザで開いた。参加した当事者らは「事件を一生忘れない」と訴えるとともに、仲間の輪を広げようと声を上げた。

 同団体は「障害者である前に一人の人間であり、自分たちのことは自分たちで決める」という理念を掲げて1996年に発足。10〜70代の男女約30人が月1回の会合で親睦を深めたり、メンバーが大学などで当事者としての思いを発信したりしている。

 会場では当事者ら約80人が黙とうと献花の後、事件について意見を述べ合った。

 岩村和子さん(56)は、年上の知人女性が事件で命を奪われた。20歳のころ、県内の入所施設の同じ部屋で1カ月ほど一緒に暮らした。朝起こしてくれるなど優しい人柄だったことを今でも鮮明に覚えている。悲しみを胸に秘めながら「許せない。絶対に忘れない」と訴えた。

 「風化させない」。そう声を上げた井上晶博さん(46)は事件が起きた同じころ、支えてくれた社会福祉法人の職員が退職した。事件で逮捕されたのが元施設職員だっただけに「そんなことはないと思うけれど」と前置きした上で「親切にしてくれた職員に襲われてしまうのではないか」という不安が今も頭から離れないという。

 神下康成さん(22)は「障害者がなぜ殺されなければならないのか。絶対許さない」と強調した。

 この日は当事者による寸劇やダンスなども披露され、交流を深めた。

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