名門救う一振り 横浜・増田が「仲間に感謝」同点弾 高校野球神奈川大会第12日

 高校野球の第99回全国選手権神奈川大会第12日は23日、サーティーフォー保土ケ谷球場など4会場で5回戦8試合を行い、第1シードは東海大相模、横浜、桐光学園が8強入りを決めたが、星槎国際湘南が敗れた。

 東海は延長十一回に4番森下翔太(2年)がサヨナラ打を放ち2−1で向上に競り勝った。横浜は増田珠(3年)、万波中正(2年)の本塁打で藤沢翔陵に6−2で逆転勝ち。星槎は中盤以降に打ち込まれ日大に4−9で屈した。大師は2−4で桐光に、氷取沢は5−16で立花学園に敗れ、公立はすべて姿を消した。

 準々決勝は横浜スタジアムで、25日に横浜−相洋、桐光−慶応、26日に日大−立花、東海−日大藤沢が行われる。■仲間の支えに感謝 チームの窮地に目覚め、たった一振りで救う。それができるから、増田は名門横浜のスターだ。0−2の六回無死一塁。プロ注目のスラッガーは、外角の直球を高々と打ち上げた。

 風にも乗って右翼スタンドに突き刺さる今夏1号の同点アーチ。「今までなら崩されてセカンドゴロ。バットを振り切れた」。本塁を踏み、仲間と喜びを分かち合った。

 1年から輝き続けた神奈川大会。過去2大会で4本塁打、一昨年秋から今春にかけ公式戦では128打席連続で三振ゼロだった強打者が、今夏は2三振を喫するなど“不振”だった。「ホームランから離れていたし、いい場面で打ちたいし。焦りはあった」。支えてくれたのは夏ベンチ入りから漏れた3年生たちだ。

 この日の早朝、「西澤と同じ左投げだから」と打撃投手を買って出てくれた岩鼻。打撃フォームを解析してくれた、寮で相部屋の奥村。多くの仲間が、いつも笑顔で人を引き付ける増田の一発を待ち望んでいた。

 信頼する主砲復活に平田徹監督(34)も「増田の本塁打? 風です。天佑かな」と安堵(あんど)の表情で笑った。

 トンネルを抜け出した背番号8にも、屈託ないスマイルが戻った。「すごく意味のあるホームラン。本当に感謝」。あと3試合。名門のスターが、クライマックスに向けて輝きを増していく。

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