目指せ常設館 シネマまえばし てこ入れへ改修検討

改修工事が検討されているシネマまえばし=7月中旬、前橋市千代田町

 前橋市が、中心市街地で運営する貸し映画館「シネマまえばし」の改修工事を検討していることが25日、分かった。民間団体による映画上映のほか講演会、舞台などで使用されているが、利用が伸び悩んでいた。老朽化していた映写機や音響設備を改修し、常設の映画館としての“再出発”も視野に入れている。

 シネマまえばしは、同市千代田町の前橋プラザ元気21別館3階にある。2014年度に市がNPO法人から運営を引き継ぎ、貸し館としての業務を行ってきた。だが、利用申請は15年度は56件、16年度は69件で、利用があまり広がっていなかった。16年度の利用日数は、130日程度だったとみられる。

 市は5月以降、ミニシアターの深谷シネマ(埼玉県深谷市)やシネマテークたかさき(高崎市)などを視察し、より有効な活用法を探ってきた。市は「市中心街で映画を鑑賞できる場所として、シネマまえばしは可能性にあふれている場所。さまざまな選択肢を検討したい」としている。

 利用団体の一つに、市民向けに映画を無料上映する「かようシネマ」がある。映画鑑賞をきっかけに、中心街に足を運んでもらいたいとの思いで、上映機会の少ない名画を 中心に上映を行ってきた。関係者から9月以降、改修工事の可能性があるとの説明を受け、8月8日の上映を最後に一時「休館」することを決めた。

 かようシネマを主宰するエフブリッジ(前橋市)の藤橋誠さんは「多くの市民が多様な映画に親しめるような環境づくりを進めてほしい」と期待を込めた。上映会に毎週通っているという稲村幸伸さん(68)=同市=は「映画を見ると世界各地に旅行したような気持ちになって楽しい。休館は寂しいが、有効に活用してほしい」と話した。

 かようシネマ100回目の上映となる8月1日は、第81回アカデミー賞外国語映画賞などを受賞した「おくりびと」を上映する。最後の上映となる8日は野球チームを題材にした前橋市のまち映画「クラッチヒッターみなみ」を上映する。

© 株式会社上毛新聞社