内藤未来が判定勝ち 自分のリズム作れず悔しさも

 新人ボクサーの登竜門「東日本新人王トーナメント」が25日、東京・後楽園ホールで行われ、横浜市中区出身で元東洋太平洋ミドル級王者・カシアス内藤の次男、内藤未来(25)=E&Jカシアス=がライト級4回戦に出場した。橘ジョージ(22)=協栄=に苦戦したが、2−0(38−38、39−37、40−37)で判定勝ち。デビュー戦から無敗で白星を獲得した。

 未来が得意とするステップがこの日は見られなかった。相手の出方をうかがうあまり、自分のリズムを作れない。

 「カウンター!」「未来、打てるよ!!」。前日本S・フェザー級チャンピオンの兄・律樹が掛ける声に反応はするものの、手が出ない。仕掛けるタイミングを失い、何度か相手のパンチを受けた。

 「倒れるという感じはしなかった」と振り返るが、相手に脅威を与えるような展開を作ることができず、3ラウンド目には、橘が打ったパンチを右目の上に受け、試合中に初めて流血をする経験した。

 「タラーッと(血が)流れるのを感じた。切れてると思ったら、リングに血が垂れていた。慌てないように。自分に言い聞かせたけれど、どこかで良いところを見せたいという思いがあった」 最終ラウンドに入る前、「ここを取らなきゃ負けだぞ」と送り出された。このまま終わるわけにはいかない。左右のグローブを胸の前で打ち付け、全身に気合を入れた。

 苦戦する未来。「どちらか1人が言えば良い。2人で言ったらうるさいでしょう」と試合中、長男に任せている掛け声を、父も身を乗り出して積極的に掛けていく。

 「ワン、ツー!」 残り30秒で、父の声に合わせて相手にパンチが決まり、会場を沸かせた。終盤はコーナーに追い込まれる場面もあった。

 判定結果がアナウンスされた際、下を向きうつむいた未来に、父が「しゃきっとしろ」と叱咤(しった)。デビュー4連勝をマークした未来だが、トレードマークの笑顔はなかった。

 試合後、真っ赤にはれた右まぶた。「もっと練習しないといけない。悔しかった」と唇をかんだ。

 兄は「まだ(プロデビュー)4試合目。どこかでこういう経験をするもの」と気を引き締めていた。

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