米メディア検証 ダルビッシュがライバルへ“禁断”のトレードとなる可能性は?

レンジャーズのダルビッシュ有投手は7月末のトレード期限を控え、マーケットの主役となっている。ドジャース、ヤンキース、カブスなど名門が移籍先候補として報じられる中、ライバルへの“禁断の移籍”実現の可能性を米メディアが検証している。

レンジャーズ・ダルビッシュ有【写真:Getty Images】

ESPNが特集「アストロズはダルビッシュにすんなりフィットする」

 レンジャーズのダルビッシュ有投手は7月末のトレード期限を控え、マーケットの主役となっている。ドジャース、ヤンキース、カブスなど名門が移籍先候補として報じられる中、ライバルへの“禁断の移籍”実現の可能性を米メディアが検証している。

 昨年の地区王者レンジャーズは今季、49勝51敗でア・リーグ西地区3位。ワイルドカード争いでは、プレーオフ進出圏内まで現時点で3.5ゲーム差となっている。今季終了時に6年契約が満了となるエース右腕ダルビッシュは、シーズン中に契約延長せずにフリーエージェント(FA)となれば、大争奪戦となることが確実。プレーオフ進出へ向けてさらに苦しくなれば、今月中にトレードに出される可能性が高いと見られている。

 では、ダルビッシュがレンジャーズと同じテキサス州を本拠地とし、同じア・リーグ西地区で2位マリナーズに17ゲーム差をつけて独走する首位アストロズに移籍する可能性はあるのだろうか。ESPNは「ヒューストン・アストロズはダルビッシュにすんなりフィットするように思われる」と、指摘している。

 貯金34で圧倒的な強さを誇るアストロズには、今季から青木宣親外野手も所属。独走の理由について、記事では「パワーとコンタクト・ヒッティングの素晴らしいコンビネーションからなる攻撃に大きくよるものだ」と分析している。ただ、打撃が武器となっている一方で、ジェフ・ルーノウGMは投手陣強化の方策を模索しているという。

「彼らがダルビッシュを陣容に加えるとすれば、アストロズがどこまで素晴らしくなるのか思いをはせるだけで、魅力的だ」

 今季のオールスターに選出されたダラス・カイケル投手(現在はDL入り)、ランス・マッカラーズ投手を先発ローテーションの中心に据えるアストロズが日本人右腕を獲得すれば、ワールドシリーズ制覇に向けた近道になることは確かだろう。

レンジャーズGMは前向き「ベースボール的に正しい判断なら問題ない」

 では、数々浮上するトレード先の中からアストロズにエースを供出するという選択をレンジャーズがすることはありえるのだろうか。レンジャーズのジョン・ダニエルズGMは、同地区のライバルであることを理由にトレードを拒否することはないと主張しているという。

「もしも、レンジャーズにとってベースボール的に正しい判断ということなら、同じディビジョンでも同じ州でも、私には問題はない」

 記事によると、同GMはこのように語り、アストロズをトレード先から“消去”することはしなかったという。メジャーでは、同地区のライバルに実力者を供出することは好まれないが、ダルビッシュに関しては、この“慣例”は関係ないという。今季限りでFAとなるために、アストロズでのプレーは8月と9月とポストシーズンに限られるというのが、この分析の根拠とされている。

 さらに、レンジャーズとアストロズはここ数年は同地区の優勝を争ってきたチーム同士であるものの、メジャー最大のライバル関係を誇る二大名門とは事情は異なるという。記事では、「レッドソックスとヤンキースのような憎悪は彼らの間には存在しない」と指摘している。

 その一方で、レンジャーズはダルビッシュ放出と引き換えにアストロズから獲得できるトレード要員のクオリティが他球団と大きく変わらない場合、違う地区のチームとのディールを選択するとも分析。あるア・リーグ球団のGMが「もしもダルビッシュを狙っている4チームのマイナー組織が強力なら、私の読みでは同地区ではないどこかのチームと組む(トレードを行う)のではないだろうか」と話していることも紹介している。

 トレード期限が迫る中、26日(日本時間27日)の本拠地マーリンズ戦で先発予定のダルビッシュを見つめる観衆の中に、アストロズはスカウトを送り込むことになると記事では指摘。「彼ら(アストロズ)が今年のトレード期限の王冠の宝石を手にしたいと切望するなら、代償を支払う準備をすべきだろう」とレポートしている。

“禁断のトレード”は実現するのか。締め切りの最後の瞬間まで、日本人右腕の動向に熱い注目が集まる。(Full-Count編集部)

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