〔焼岳〕噴気が発生した火口周辺で新たな異常なし 山頂付近の滞在には充分な安全対策を(8/11)

気象庁は、おととい9日夜遅くからきのう10日未明にかけて長野・岐阜県境の焼岳で空振を伴う地震が発生し、岐阜県側の西側の山腹で小規模な噴気が一時確認されたとして、きのう10日、「火山の状況に関する解説情報」と「火山活動解説資料」を発表しました。
これを受けて、気象庁はきょう11日、現地調査を行いましたが、噴気の確認された火口およびその周辺では特段の異常はみられなかったと明らかにしました。

焼岳では、おととい9日23:50頃からきのう10日02:00頃にかけて空振を伴う地震を6回観測しました。また、きのう10日00:48頃から03:00頃にかけて、山頂の西側400mの岐阜県側の山腹で白色の噴気が観測され、100m程度まで上昇しました。焼岳の山頂周辺には数か所の噴気孔がありますが、今回発生した場所は普段は噴気が見られないところとなっています。
気象庁はきょう11日に現地調査を行いましたが、10日に噴気の確認された火口およびその周辺では噴気は確認されず、明瞭な地熱域、地形の変化や噴出物も確認されませんでした。また、火山性地震も10日02:00以降は観測されておらず、地殻変動等のデータにも特段の変化はありません。

気象庁では、再び噴気が活発化し、火山ガスの噴出の可能性もあるとして、山頂付近になるべく留まらないよう注意するとともに、山頂付近に立ち入る際はヘルメットをかぶるなどの安全対策をするよう呼びかけています。
なお、焼岳の噴火警戒レベルは1(活火山であることに留意)が継続しています。

焼岳は、長野・岐阜県境の北アルプス(飛騨山脈)にある標高2455mの火山で、平時でも活発な噴気活動が続いています。過去の噴火はほとんどが水蒸気噴火であり、最近では1962~63年(昭和37~38年)の噴火で長さ約500mの割れ目火口が生成され、多量の噴石や降灰があり、火口付近の山小屋で2人が負傷しています。
また、噴火に伴って泥流の発生が多いことも特徴で、1915年(大正4年)の噴火で発生した泥流では梓川が堰き止められ、大正池が形成されています。

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