使っていない銀行口座、そのままで大丈夫?

ほったらかしの口座がある、古い通帳が出てきたという場合、銀行の休眠口座の解約方法や預金の引き出しや手続きについて、また、休眠口座にならないための注意点について解説します。

休眠口座になっても預金は引き出せる

もう何年も使われていない銀行口座を休眠口座、または睡眠口座と呼びます。推計では、毎年なんと数百億円もの休眠(睡眠)口座が発生しているとか。あなたの口座は大丈夫ですか?

休眠口座になる目安は、取引がなくなってから10年

預金者は銀行に対して債権(預金を返してもらう権利)を持っていますが、この権利は5~10年間行使しないと時効が成立し、権利が消滅してしまいます。

ただし、理論上はそうであっても、全国銀行協会では自主ルールとして、10年、20年経過した預金であっても払戻しに応じるとしてきました。つまり、いったん休眠(睡眠)扱いになった預金でも、引き出すことができるのです。

休眠預金等活用法が成立したことで、2019年1月以降に発生した休眠預金は、所定の機関に移され、民間公益活動に使われることになりました。しかし、その場合も、名乗り出れば、口座のある銀行で引き出すことができます。

自分の大事な預金ですから、きちんと解約して引き出したいですね。ただ、中には例外もあります。民営化前に預けた郵便貯金です。

民営化前の郵便貯金は例外

民営化前(2007年9月30日以前)の郵便貯金には、郵便貯金法が適用されます。

郵便貯金法では、定額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金が、満期の翌日から20年間引き出しの請求がなく、文書で知らせてもなお引き出しが行われないと、その2カ月後に権利が消滅すると定められています。

ずいぶん前に郵便局にお金を預けた記憶があるという人は、通帳を探して、満期日を確認しましょう。

なお、通常郵便貯金(銀行の普通預金にあたる)、通常貯蓄預金については、民営化の2007年9月30日時点で20年2カ月を経過しているかどうかで違ってきます。

経過していれば郵便貯金法が適用されて権利は消滅。経過していなければ、民営化前の預入であっても、民営化後のゆうちょ銀行に引き継がれ、最後の取引から10年経過後に休眠口座になるものの、請求があれば払い戻されます。

休眠(睡眠)口座の解約方法・手続きはどこでできる?

解約に必要なのは、登録の印鑑、通帳、キャッシュカード、本人確認書類など。引っ越しで住所が変わった、結婚で姓が変わった人は、銀行によっては証明する公的な書類が必要な場合もあります。

印鑑や通帳を失くした場合は、口座番号や支店名などから調べてもらい、本人の預金であることが確認できれば、対応してもらえる銀行もあります。手続きは、銀行の支店窓口で行います。

休眠口座のある銀行の最寄り支店へ

以前は、銀行口座を解約するには、口座のある支店に出向く必要がありました。今では、どの支店でも対応している銀行が増えています。

最寄りの支店に行って、解約や引き出しの申し出をしましょう。合併などで銀行名が変わっているなら、今の銀行名の支店に行きます。

参考までに、都市銀行の合併前の銀行名は次の通りです(カッコ内が合併前の旧銀行名)。

●みずほ銀行

(旧銀行名は、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行)

●三菱UFJ銀行

(旧銀行名は、三菱銀行、東京銀行、UFJ銀行、三和銀行、東海銀行)

●三井住友銀行

(旧銀行名は、三井銀行、住友銀行、太陽神戸銀行、さくら銀行)

●りそな銀行

(旧銀行名は、あさひ銀行、大和銀行、協和銀行、埼玉銀行、協和埼玉銀行)

地方銀行でも、合併や経営統合が進んでいます。現在の銀行名がわからないときは、全国銀行協会の相談窓口でも教えてもらえます。

現在、利用している銀行から取り立ててもらうこともできる

転勤などにより、住所が変わり、解約したい銀行の支店が近くにない場合は、現在、口座を持って利用している銀行から取り立ててもらうことができます。ただし、この方法では書類を郵送するための書留料金など実費を支払う必要があります。

休眠口座の払い出しには、それなりの手間と、場合によっては交通費などの費用がかかります。実際に行動を起こすかどうかについては、面倒に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、自分名義の口座ですから、自分で責任を持ち、使わないものは解約するべき、ともいえます。銀行では、休眠口座であっても管理を行い、そのための経費も発生します。

休眠口座にも金利はつく?

いったん休眠口座の扱いになっていても、引き出しの際には、休眠口座にならなかったとして金利が計算され利子がつきます。

休眠口座になることを防ぐための注意点! 引っ越し後は必ず住所変更を

休眠口座になることを防ぐための注意点は3つ。

・使わなくなった口座は速やかに解約する

・引っ越しをしたら必ず住所変更届を出す

・銀行口座は使いこなせる数に絞り込む

毎日せっせと節約をする一方で、うっかり忘れて休眠口座にしてしまい、自分のお金を失くしたら、残念ですね。忘れている口座がないか、一度、確認してみましょう。

(文:坂本 綾子(マネーガイド))

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