日航機事故三十三回忌 「命続く限りお参り」

事故機の機長の高浜雅己さんの墓標に手を合わせる妻、淑子さん
新しくした墓標を目にし、うれしそうな表情を浮かべる内野理佐子さん

 520人が犠牲となった日航ジャンボ機墜落事故から32年となった12日、遺族らは群馬県上野村の事故現場「御巣鷹の尾根」に慰霊登山した。「節目だから久々に訪れた」「節目はない」。それぞれの思いで三十三回忌に臨んだ。墓標に故人の在りし日を思い浮かべ、悲劇の山に安全な社会の実現を願った。

 おいの山城栄賢(えいけん)さん=当時(35)=が犠牲になった羽田友子さん(74)=東京都大田区=は「事故の5年後ぐらいから、仕事の都合で登れていなかった。三十三回忌は節目だから」と友達を誘って訪れた。尾根の登山道は記憶とは見違えるほど整ったという。「年を重ねても安心して登れる。これからはもっと足を運びたい」と気持ちを新たにした。

 「いっぱい飲んでもいいんだよ」。夫の弘さん=同(53)=を亡くした佐田和子さん(81)=埼玉県所沢市=は、弘さんが好きだった酒とたばこを墓標に供えた。毎年付き添う弟の中村晴男さん(74)は「(慰霊に)節目はない」と語り、いつも通りに振る舞った。「ここでの一杯が毎年の楽しみ。頼りがいのある兄さんだった」。缶ビールを片手に、生前と同じように酒を共にした。

 父の南慎二郎さん=同(54)=を亡くした内野理佐子さん(57)=川崎市=は今年、墓標を石製に新調した。この日初めて見た墓標の出来栄えに喜び、父には「家族のことは心配しないで」と伝えた。事故からの32年間を「無我夢中であっという間」と振り返り、「自分たちと同じ思いをする人を二度と出さないで」と願った。

 事故機の機長の高浜雅己さん=同(49)=の妻、淑子(よしこ)さん(73)は家族ら9人と訪れた。孫の高浜優人君(7)と続(つづき)真琴さん(9)から「ばあば頑張れ」と声を掛けられながら歩を進めた。バレエを習っている真琴さんに「バレエをじいじに見てもらいたかったね」と声を掛けた。「今年も来ることができてよかった。命が続く限りお参りしたい」と力を込めた。

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