糖尿病患者支えたい 県内専門医らNPO設立

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■「療養指導士」育成へ 県内で糖尿病の患者が増える中、糖尿病についての幅広い専門知識を持ち、患者に自己管理を指導する医療スタッフ「とやま糖尿病療養指導士」を育成する取り組みがスタートした。専門医らがNPO法人を設立し、講習と試験を行って看護師や薬剤師らを療養指導士に認定。糖尿病を専門としない開業医をサポートする人材を育て、かかりつけ医での診療を強化する。9月中旬から受講者の募集を始める。

 (社会部・荒木佑子) 厚生労働省の国民生活基礎調査によると、県内の昨年の糖尿病による通院者は5万人で、1998年の2万6千人から約2倍に増えた。高齢者の割合が高まっており、昨年は70歳以上が5割を占めた。

 糖尿病で怖いのが合併症だ。患者は、脳卒中や心筋梗塞、人工透析に至る腎症、失明の危険がある網膜症などの発症リスクが高くなる。認知症になりやすく、身体機能も衰えやすい。重症化を防ぐため、適切な療養指導を行える医療スタッフを地域で育成することが急務となっている。

 現在、「日本糖尿病療養指導士(CDEJ)」を認定する制度はあるが、受験資格は、日本糖尿病学会員や専門医の指導を受けた看護師らに限られる。同学会理事の戸邉一之富山大医学部第一内科教授(59)は「失明寸前、透析寸前になって初めて糖尿病と診断され、専門医に紹介されてくるケースがある。早期の治療のためには、かかりつけ医で早く患者を見つけ出すことが必要」と指摘する。

 そこで、専門医がいない一般の診療所などで働く看護師ら向けにも、資格認定制度を設けることにした。富山大の専門医やCDEJが中心となり、日本糖尿病協会(東京)の支援を受けて、認定事業を行うNPO法人「とやま糖尿病療養支援機構」(理事長・戸邉教授)を6月に設立。同協会県支部と県医師会の協力も得て、12月に講習会をスタートさせる。4回の講習会を経て、来年3月に認定試験を行う。

 対象は、糖尿病患者と1年以上接してきた看護師、薬剤師、管理栄養士ら。食事や運動療法、薬などを学ぶ座学に加え、インスリンの注射、自己血糖測定の実習がある。

 戸邉教授は「介護に関わる資格を持つ人にも参加してほしい。糖尿病の医療の進歩を、県内の隅々まで届けたい」と語る。県内29の患者団体が所属する日本糖尿病協会県支部の西田弘会長(74)は「知識や技術を持つ医療スタッフが増えれば、糖尿病の『予備軍』の人たちが糖尿病へ移行するのを抑えられる」と期待した。

 初年度は40人程度を募集する。受講料は1万円。受講者を紹介した医師は聴講無料。9月中旬に詳しい募集要項を記した機構のホームページ(http://www.toyamacde.or.jp)を開設する。問い合わせは機構事務局、ファクス076(434)5025。

 ◆◆糖尿病◆◆ 体内ホルモンのインスリンが不足したり、うまく働かなかったりして血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高くなる病気。遺伝的な要因のほか、食べ過ぎや運動不足が引き金となって起こるため生活習慣病の代表例の一つに挙げられる。

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