坂井初戦、友のグラブに堅守誓う

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ベンチ外の選手に借りたグラブを使う坂井の吉田温郎主将(左)と松浦光輝選手=12日、大阪府貝塚市

 夏の甲子園初出場を果たした福井県代表の坂井高で二遊間を組む松浦光輝選手、吉田温郎(あつろう)主将は、グラブに意外な共通点がある。いずれもベンチ入りできなかった3年生のものを借りて使っているのだ。「仲間の思いも背負って甲子園で戦う」。戦友との絆が堅実な守りを支えている。

 「グラブ貸してくれや」。福井大会開幕の約10日前、松浦選手はチームメートの上田涼太さんにこう頼んだ。

 同じ二塁手だった上田さんは送球が定まらなくなり、2年生の春から外野手に転向。内野用のグラブは保管していた。最後の夏、ベンチを外れ、スタンドで太鼓をたたく上田さんに、松浦選手は「お前のグラブで大会に出て甲子園に行く」と伝えた。

 「練習だけ使うと思っていたから驚いた」と上田さん。松浦選手は手入れして福井大会1回戦から使い、決勝は七つのゴロを含む10回以上の守備機会を完璧にこなした。「一緒に練習した仲間。あいつのグラブが助けてくれたんじゃないかな」と感謝する。

 一方、吉田温郎主将はベンチ外の伊藤央亮(ひろあき)さんから福井大会の期間中、「自分の分まで頑張ってくれ」とグラブを託され、準々決勝から使った。

 一緒に自主練習してきた仲で「伊藤は少しでも技量を上げようと必死だった。そういう思いも背負って戦いたかった」と吉田主将。試合中にグラブを見て「仲間の分まで頑張らなあかん」と何度も励まされた。準々決勝以降の失策は一つだけで、随所に安定したプレーを見せた。

 グラブは本来、感覚や慣れが大事だが、松浦選手と吉田主将は「練習で慣らしたので全然大丈夫。使いやすい」と口をそろえる。そんな二遊間コンビに、「自分たちの分まで頑張るという気持ちが伝わってくる」と伊藤さん。上田さんは「グラウンドで一緒に戦っている感覚になる」。13日の甲子園初戦も気持ちを一つにして守り抜くつもりだ。

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