三重県松阪市 武四郎の「人物誌」で講演 出版禁止の理由迫る

 【松阪】松浦武四郎記念館は13日、三重県松阪市小野江町の同館で第123回武四郎講座を開き、山本命主任学芸員が「近世蝦夷(えぞ)人物誌の謎」と題して講演した。アイヌの置かれた過酷な状況を知らせる武四郎の「近世蝦夷人物誌」の出版が幕府に禁止された理由に迫った。

 武四郎はアイヌ108人の99話を同書に記録している。義民・勇猛45人、孝子22人の他、体の不自由な人やひげ自慢なども取り上げている。

 山本学芸員は「アイヌを労働力として無理やり働かせ、女性が単身赴任の役人商人の犠牲になっていると実名を挙げて告発している。蝦夷地支配の在り方は本当にこれでいいのか問い掛ける内容」「アイヌの恨みの声をもっと多くの有識者に知ってほしいと後書きに書いている」と指摘した。

 一方、「幕府へ献納して褒美に白銀2枚をもらっているので一定の評価はあったが、衝撃的な内容だったので出版を願い出たが却下された」と説明。「アイヌの声を届けたい、アイヌが置かれている状況を知ってほしい、商人役人に行動を改めてほしいという思いが詰まっていると思う」「武四郎の真骨頂」と語った。

 同講座は毎月第2日曜日に開催し、約50人が参加した。

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【123回目の武四郎講座=松阪市小野江町の松浦武四郎記念館で】

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