京都・滋賀の恩師ら祝福、約束の「爆走」 400リレー銅・桐生

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 世界選手権への3枚の切符を争った6月の日本選手権男子100メートル。桐生選手はまさかの4位となり、代表から漏れた。洛南高陸上部の同級生で、走り幅跳びに出場していた山川夏輝さん(22)=日本大=は取材を受けた直後の桐生選手に偶然、出くわした。10秒0台の好記録を連発していたスプリンターは「悔しい」とつぶやき、目からは涙があふれた。山川さんは「悔し泣きする桐生を見たのは初めて。悔しさと苦しさをためていたんだと思う」。

 7月下旬にロンドン入りしてからリレーまで約2週間あり、「部屋にいて(個人種目の)レースを見ていたら悔しさを持って(リレーに)臨まないといけなくなる」と取材に答えている。国会議事堂の大時計(愛称ビッグベン)に行くなどして気を紛らわせた。

 男子100メートルでは日本勢3人全員が準決勝に進む活躍。だがチームメートであり、ライバルでもある選手たちの存在も闘志に火をつけた。

 「サニブラウンの走りは刺激になる」。洛南高陸上部の同級生・高野健さん(22)=明治大=に、無料通信アプリのLINE(ライン)のメッセージが届いた。大会中も毎日のように連絡を取り合ってきたが、陸上のことが話題に上ることはなかった。微妙な気持ちを感じ取った高野さんは、リレーの予選後「いい走りやったな。(決勝も)がんばってや」と励ました。「ありがとう。がんばるわ」と返事が届いた。

 複雑な思いを振り切って手にした銅メダルに、恩師たちは一皮むけた桐生選手の成長を感じている。洛南高陸上部の柴田博之監督(54)は「脚光を浴び続けてきた桐生にとって、注目されなかった大会は初めての経験。気持ちをよく整理した」とたたえる。彦根市立南中で指導した億田明彦さん(49)=米原中教諭=は「追い風の時も向かい風の時もあるが、地に足を付けて頑張ってほしい」と今後に期待した。

 高野さんは「爆走やったな」とお祝いメッセージを送った。ロンドンの13日午前2時前、桐生選手らしい返事が来た。「爆走したわ」

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