【SBS杯】U-18日本代表のモダンボランチが警鐘を鳴らす「このままだとアジアさえ突破できない」

 伊藤洋輝にとって今回のSBSカップは、約1か月半ぶりの実戦だった。
 
 7月23日、U-23アジア選手権予選の中国戦。U-20日本代表として出場した伊藤は、51分に市丸瑞希に代わって投入され、約40分間プレー。帰国してからは、ジュビロ磐田U-18が日本クラブユース選手権に出場していなかったため、公式戦がなく、実戦から遠のいてしまったのだ。
 
 今回は本来の世代であるU-18日本代表での出場。チリ戦、チェコ戦に先発出場し、第2戦の静岡ユース戦でも後半から登場したが、とうてい納得のいくパフォーマンスではなかったという。
 
「1試合目(チリ戦)の前半がすごく悪くて、ゲーム勘が鈍っているなと実感しました。そこから徐々に戻ってきた感じなんですが、まだまだパスの精度が低いですし、ミドルシュートももっと枠に飛ばさないといけない。本来ならば、自分が一番走れる選手にならないといけないのに、それができなかった」
 
 彼の持ち味は、ボールを奪ってからの選択肢の多さにある。それが今大会では影を潜めてしまっていた。186センチの恵まれた体躯を持ちながら、足下の技術とパスセンスに秀で、積極的な前への仕掛け、そしてフィニッシュの局面でもきっちり仕事をする。
 
 本人が語ったように初戦のチリ戦では、ボールが思うように収まらず、ゲームの流れに入り切れなかった。それでも自慢の左足から繰り出される長短のパスでチャンスを演出するなど、存在感は示したが、彼の持っている能力からすれば、物足りない出来だった。
 
 最終戦のチェコ戦でも、27分にカウンター阻止からイエローカードをもらうと、寄せが甘くなり、簡単に入れ替わられてしまうシーンもあった。シュートはチーム最多タイの4本を放ったが、いずれも枠を捉えられなかった。
 
「相手のカウンターが速いのは分かってましたが、あのシーン(27分)でもっと上手く止めていればイエローをもらうことはなかったし、後半も積極的に行けたはず。攻撃面でもゴールに絡むプレーをもっともっと出していきたい。やっぱりラストパス、スルーパス、ロングボールの精度すべてが足りない。アシスト、ゴールという目に見える結果をもっと残していきたい」
 

 神妙な面持ちで自らの課題を語る彼の心には、「このままではいけない」という危機感がある。
 
 今年5月、韓国で開催されたU-20ワールドカップ。伊藤は候補メンバーだったが、本大会の登録メンバーには残れなかった。トレーニングパートナーとして静岡での直前合宿に参加し、磐田とのトレーニングマッチでハイレベルなプレーを披露しただけに、彼にとっては無念の出来事だった。
 
「メンバーに入れなかった悔しさはすごく大きい。でも、トレーニングで内山篤監督の信頼を掴み切れなかったからで、プレーの安定感も足りなかった。だからこそ、次(現在の18歳の伊藤は次のU-20ワールドカップにも出場できる)に向けて、どんどんゴール前に飛び出していける、よりゴールに絡めるボランチになりたいと思っています。それに今回は自分の代なので、絶対に選ばれてワールドカップに出たいと思っています」
 
 明確な目標に向け、彼は自分のプレーに満足しているような時間も必要もなかった。
 
「課題がたくさん残った3試合でした。このままだとアジア1次予選(U-19アジア選手権予選)さえ突破できないと思う。本番までもう集まる時間があまりないので、詰めていけるところは詰めていきたい。それにチリもチェコもU-16の時に戦った経験はありますが、その時はふたつとも勝ったのに、18歳になってくると向こうの選手の伸び率はすごいなと感じた。日本のボール回しだけでは勝てない。より個のレベルアップをしていかないといけない」
 
 チームの中心としての自覚が芽生え、さらなる成長を目ざす伊藤洋輝。今大会で感じた自分の甘さと未熟さを、向上心と責任感に変えて、まずはワールドカップへの第一関門となる11月のアジア予選(モンゴル)に照準を合わせる。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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