福江島で占領行動の写真入手

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 戦時中の五島列島の軍事施設や戦史を調べている国土交通省航空局職員の深尾裕之さん(46)=青森県在住=が、戦後間もない1945年11月に福江島(現五島市)で占領行動をする米軍の写真約20枚を米国立公文書館から入手した。レーダーの爆破や日本側の武器の処分の様子など、これまでに視覚的な記録がなかったものばかりで、72年前の島内の状況が見て取れる貴重な資料と言えそうだ。

 入手した写真は45年11月4~13日に来島した米軍が撮影。深尾さんが特に関心を示すのが、福江島の玉之浦町にあった旧佐世保海軍警備隊の大瀬崎見張所のレーダー。写真は、米兵がレーダーのそばに座って爆破の準備をする場面や、白煙を上げてレーダーが崩れる瞬間などを捉えている。

 深尾さんによると、大瀬崎は戦時中、宇久島(現佐世保市宇久町)と女島(現五島市)とともに対空用のレーダーが配備されており、中国や沖縄方面から飛んでくる航空機を監視する要所だった。現在は観光名所となった灯台がある大瀬崎も、戦争の歴史を深く刻んでいる。

 ほかにも、米兵の指揮の下、海中に投棄するライフル銃などを船に積み込む日本人や、学校のグラウンドで米を扱う子どもたち、一緒に整列して旗を掲揚する米兵と日本兵などの写真を入手した。

 占領行動以外にも、45年5月に宇久島北海上で起きた米軍水上機と旧日本軍の戦闘機「紫電改」との空中戦を捉えた写真や、五島列島への最後の空襲とされる同8月14日の中通島(現新上五島町)空襲の記録文書などを見つけた。

 深尾さんは2015年春まで福江空港に勤務。当時から独自に日米の資料を調べたり住民らの証言を集めたりして、戦時中五島にあった旧日本海軍の航空基地の概要や、米軍による爆撃の実態などをつぶさにまとめてきた。調査結果の一部は五島文化協会の同人誌「浜木綿」に寄稿してきた。

 新たな調査結果は今後も「浜木綿」へ寄稿する予定で、同協会はこれまで掲載した分も含めて書籍化を検討している。深尾さんは「他にも多くの埋もれた戦争の資料や遺構はあるはず。明らかになった写真などを基に地元でも調査を進めてほしい」と話している。

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