福島復興のシンボルに 鎮魂の「絆」寄贈

画像
畑萬陶苑の畑石眞嗣社長が自ら手がけた作品「絆」

 伊万里市の窯元「畑萬陶苑」の畑石眞嗣(しんじ)社長(62)が東日本大震災と復興をテーマに自ら制作した作品を、福島県立医科大学附属病院(同県福島市)に寄贈した。鎮魂や復興へと前に進む思いを込め、震災直後の2012年に英国・ロンドンで開かれた芸術祭に出展して高い評価を受けた作品で、「縁あって復興のシンボルとして選んでいただいてうれしい」と話す。

 作品は直径45センチの深めの大皿で、題は「絆」。震災発生の日、全てを飲み込んだ津波を本革のような質感を出す独自の技法で黒く大きな渦を描いて表現。一つ一つ手書きした大小のバラは瑠璃色の海の上で互いにつながりながら咲き、被害を乗り越えて生きる人々やささやかな願いを思わせる。「日の当たらない場所でも懸命に生きる人もいる」と、皿の裏面にも余すところなくバラが敷き詰められている。

 作品の寄贈は畑石社長と親交のある山下俊一長崎大学副学長が、被ばく治療の研究で提携する福島県立医大でも副学長を務めていることから持ち上がった。作品は伊万里焼風鈴30個とともに、1階ロビーの多くの人が行き交う場所に置かれることになり、先月31日に畑石社長も立ち会って除幕式が行われた。

 畑石社長は「震災があって被災地に行くこともできず、何ができるか考えていたときの思いを形にした作品。福島にも素晴らしい伝統工芸があり、同じ仲間として復興を遂げてほしい」と話した。

あなたにおすすめ