<相次ぐいじめ自殺>根絶へ検証制度導入を

仙台の中学生3人の自殺を巡る主な経過

 いじめ被害を訴えていた仙台市青葉区の折立中2年の男子生徒(13)が4月26日に自殺して間もなく4カ月になる。市内の中学校では2014年9月に泉区館中1年の男子生徒、16年2月に同区南中山中2年の男子生徒がそれぞれいじめ絡みで自殺した。わずか2年7カ月の間に3人の若い命が失われる異常事態であり、学校の枠を超えた社会全体の取り組みが急務と考える。

 4月26日午前、折立中2年の男子生徒は休み時間に学校を抜け出し、自宅近くのマンションから飛び降り、亡くなった。遺書は見つかっていない。「明るいムードメーカー」(同級生)という男子生徒に何があったのか。人知れず追い詰められていった心情を思うと、やりきれない。

 14年9月以降、いじめ絡みの中学生の自殺に揺れてきた仙台市にあって、学校の対応は今回も疑問を感じざるを得なかった。

 男子生徒の自殺から3日後の4月29日。市教委は記者会見で、16年6月と11月の全校生徒アンケートで男子生徒が「いじめられている」と答えていたことを明らかにした。

 ところが校長は「いじめではなく生徒間のトラブル」との見方を示し、「いじめとは判断していない」と言い切った。市教委と校長の会見を受け、男子生徒の遺族は「いじめは続いていた」と反発。学校側は一転、いじめの事実を認めた。

 その後、教諭2人による男子生徒への体罰も発覚。男子生徒は生前、「先生に相談しても自分が悪かったことにされる」と周囲に打ち明けていた。体罰がいじめを助長した可能性もあり、学校の中に男子生徒の逃げ場はなかった。

 一連の問題を取材し、教育現場の「事なかれ主義」と「隠蔽(いんぺい)体質」が悲劇の連鎖を招いた大きな要因だと感じている。館中、南中山中の問題があったにもかかわらず、教訓は何も生かされなかった。

 市は具体的ないじめ対策として、いじめ担当教諭や学校単位の対策委員会の設置などを挙げるが、現場の実態に即しているか疑問だ。多人数学級のままでは一人一人の生徒に目が行き届かないし、現場の教員は疲弊するばかりだ。個々の教員の時間的なゆとりを確保するなど環境整備から始めるべきだ。

 米国や英国では18歳未満の子どもの死亡登録・検証制度「チャイルド・デス・レビュー(CDR)」が法制化されている。項目数が1000を超す詳細なデータを基に、専門家が「予防できる死」だったかを検証し、医療政策に生かしている。

 国内でCDRの創設を働き掛ける一方、「仙台版CDR」を全国に先駆けて導入できないか。ブラックボックスになっている子どもの死に光を当て、遺族のケアをしつつ再発防止策を探れるはずだ。

 いじめで愛するわが子を失った遺族は口々に「二度と同じ悲劇を繰り返さないでほしい」と訴えている。どの社会やどの時代にもいじめはあり、根絶は途方もないエネルギーを要する。ただ、「予防できる死」に社会が真摯(しんし)に向き合えば、少なくともいじめ自殺は防げると信じている。(報道部 横山勲)

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