鉄スクラップ電炉購入価格、関東で4カ月ぶり3万円台

東鉄の引き上げ影響、海外市況に先高観

 関東地区電炉メーカーの鉄スクラップ購入価格が足元で2千円高と急伸し、4月上旬以来、約4カ月ぶりに3万円台に戻した。東京製鉄宇都宮工場が10日から2千円の買値引き上げを実施。その他メーカーも追随値上げに動いた。10日時点でメーカー実勢購入価格(H2)は3万~3万1500円と2千円方の上伸となった。同日時点で湾岸価格(同)も3万500~1千円での高値寄りとなっている。海外市況の先高観に加え、地区需給にはタイト感が根強い。目先も上げ基調との見方が有力。

 市況上伸の背景には輸出の堅調が挙げられる。9日の関東鉄源協同組合による輸出入札が平均3万1606円(H2、FAS)で落札されたことを受け、足元のベトナム向け輸出はH2=FOB3万2千円に切り上がった。

 中国政府が「地条鋼」を全廃したことを受け、東南アジアや韓国で半製品ビレットの需給がタイト化。日本のビレットや鉄スクラップに対する引き合いが強まっている。

 一方、国内は夏枯れで市中発生が低調な中、足元はヤード業者の多くがお盆休み入り。今週前半は市中荷動きが閑散となる。これに対し、電炉メーカー各社はお盆期間の電気料金が割安なことに加え、需要が堅調なビレット輸出への対応もあって足元はフル操業の状態。

 各社ともお盆明けはスクラップ在庫が大幅に減るため、目先はスクラップの買いを強める見通し。

 さらに18日からは関東鉄源協同組合による5千トンの船積みが予定されている。今週末にかけて地区需給のタイト感は一段と強まりそうだ。

関西も2000円高、スポットで3万円台も

 関西地区電炉メーカーの鉄スクラップ買値が10日、トン2千円上伸してH2万9千円中心となった。買い建値ベースでは2万8千円台が残っているが、一方のスポット買いでは3万円台乗せも出ている。3万円の買値は3月中旬以来約5カ月ぶり。目先も強含み。

 東京製鉄が同日、岡山など全工場で買値を2千円引き上げたことで、大阪や姫路の各メーカーも連動した。

 関西市場では、スクラップ業者を中心に先高感が広がり、メーカーも2万6千~7千円の建値に1千円程度上乗せしたスポット買いを増やしていた。ただ東鉄・岡山が2万5500円の買い建値のままでいたことで、関西各社も表面的には買値引き上げに動かなかった。

 9日に関東の輸出商談で3万1600円台が出たことや、韓国・現代製鉄の買い希望価格がFOB3万1千円になるなど輸出向け価格の急上昇により、関東、関西ともに一段高になるなど輸出の高値が国内市況にも大きく影響した。

 関西各社では11日から16日までのお盆期間の操業に使うスクラップはほぼ確保しているが、16~17日以降の入荷動向は不透明とする向きが多く、目先も強含み気配。

中部地区、1500~2000円続伸

 中部地区の鉄スクラップ市況が、10日に1500~2千円上伸した。地区電炉買値の実勢は10日時点でH2=2万8千~3万円どころ。実勢高値で3万円を回復するのは4月中旬以来、約4カ月ぶり。

 先週9日の関東鉄源の共同輸出入札価格が前月比約3500円高の3万1千円強(H2・FAS=2万8千円)で落札されたことを受け、東京製鉄は10日購入分より買値を全工場で全品種2千円引き上げた。大同特殊鋼知多工場も同日より建値を新断2千円、その他品種は1500円引き上げたため、他の中部電炉も追随した。

 港湾筋によると、中国での地条鋼生産の全廃によりビレットに需要がシフト。東南アジアで中国製ビレットの流通量が急減し、代替としてベトナム、台湾をはじめ海外筋から国産スクラップへの引き合いが強まっている。港湾筋への引き合いは依然活発で、「旧盆後もこの傾向は続きそうだ」(港湾筋)とされる。

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