松山英樹は、いつ負けたのか 悔し涙の本当の意味 【舩越園子コラム】

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11番の第2打…自分で悪い流れに変えてしまった悔しさに涙が思わず溢れた。(撮影:岩本芳弘)

松山英樹にとって、メジャー初優勝にこんなにも近づいたのは初めてだった。メジャー大会の最終日、たとえ一瞬でも首位に並んだこと、単独首位に立ったことも初めてだった。

しかし、近づいたはずの初優勝は11番からの3連続ボギーで遠のいた。

それでも諦めたわけでは、もちろんなかった。「13番でジャスティン(トーマス)がバーディを取って、差は開いていたけど、14番、15番はバーディが取れた。最後の3ホールは難しいですし、ピンポジション的には、今日はなんかバーディーが取れるような気がしていた」。

そう、難関の上がり3ホールでスコアを伸ばすことができれば、松山にはまだまだ希望もチャンスもあったのだ。

しかし、「16番のティショットミスとパットミス。入らなかったことが結構ききました」。16番のボギーで希望とチャンスは一気に縮小。17番でバーディを奪えなかったこと、そして18番のティショットをクリークに入れたことが、松山敗北のダメ押しになった。

スコアの動きを眺めれば、グリーンマイル(死刑台への道)という恐ろしい名前が付されている上がり3ホールが勝敗を決定づけたことは間違いない。

だが、最終日の戦いを振り返りながら、「松山は、いつ負けたのか」を突き詰めていけば、勝利をもぎ取る彼の強い意欲は11番からの3連続ボギーで萎えてしまっていたのかもしれない。

フェアウェイから151ヤードをPWで打ちながらグリーン右に外し、ラフに沈んだ11番の第2打を彼は何より悔やんだ。

「あのセカンドショットが自分の中ですごく痛かった。難しくない状況からミスしてしまったのが、きつかった。バーディチャンスに付けられる位置からボギーにしてしまったというのは、自分の中ですごく不甲斐ない。」

予選2日間を一緒に回ったアーニー・エルスから「ヒデキにはミスしてもリカバリーできる優れた力がある」と絶賛されたばかりの松山だったが、この日は11番の第2打の不甲斐ないミスを補うことができずにボギーを喫し、そのショックとダメージを挽回することができずに12番、13番もボギー。

「そこからは、もう、どうしようもないなった感じで、、、14、15番はバーディー取れたけど、立て直せなかった」

11番の第2打が不甲斐ないミスになったのは、なぜだったのか。「今週はずっと(スイングに)違和感があった」。それを抱えたまま最終日を迎えてしまった。

「そこ(11番)までは、それをうまくごまかして、昨日よりいいショットを打っていたし、ピンにも行っていた」

だが、11番の第2打をミスしたことで、ごまかしがきかなくなった。不安がミスを呼び、スコアに表れた。松山はそこにショックを受け、そんな自分自身が不甲斐なく思えた。その想いを感じたとき、松山は全米プロの優勝争いに負けてしまったのだと思う。

振り返れば、7月の全英オープン最終日も優勝のチャンスを感じながら1番ティに立ったが、あのときは「練習場もすごく悪くて、とりあえずフェアウェイの方向へ打っておこうかなという感じで打った」ら、いきなりOBになった。

自信が無く、不安があれば、ごまかしは利かず、リカバリーもできない。心の中の小さな乱れがボールに伝わり、流れをよどませていく。技術に、スイングに、確かな自信がなければ、心の乱れを止めることができなくなってしまう。全米プロ最終日の負け方も、そこに敗因があった。

「トップに立ったからっていうのは関係ない感じだった。流れが悪くなる原因を自分で作ってしまった」

だから、不甲斐ない。情けない――松山の悔し涙の本当の意味を探れば、そういうことだったのだと私は思う。

文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

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