青森県内漁協再編、百年の計"が正念場 利点の明確化や欠損金対応が課題

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青森県における漁協合併の計画

 青森県内の沿海47漁協を2019年度末までに4漁協に再編する計画は、県漁協経営安定対策協会(県経対協)と県漁業協同組合連合会(県漁連)の主導で地区ごとに協議が進んでいる。水揚げ量減少や漁業者の高齢化など、漁協を取り巻く環境は厳しさを増すばかり。こうした現状から多くの漁協が合併の必要性に理解を示すものの、欠損金解消、合併メリットの具体化といった障害が立ちはだかる。今のところ協議の成否は不透明だ。

 ◇減少する漁業者

 県内漁協の経営状況は総じて厳しい。2013~15年度の3カ年平均で、47漁協中、7割に近い31漁協が事業費ベースで赤字を計上した。繰越欠損金を抱える漁協もあり、16年度末で総額は14億5193万円にも上る。さらに、正組合員数は7938人。平成に入って減少ペースは毎年200人程度まで加速した。

 このまま水揚げや漁業者が減り、収益悪化と組合員へのサービス低下が進めば、漁協は最終的に経営破綻に陥りかねない。県経対協の担当者は、「漁協が『倒産』すれば漁業権を失って操業できなくなったり、出資金が戻らなかったりなど組合員が不利益を被る」と危機感を募らせる。

 ◇約20年前も再編計画

 県内の漁協が合併を目指す動きは過去にもあった。65漁協(1998年当時)を2007年度末までに15漁協に再編する目標を掲げ、漁協合併促進法などに基づいて各地域の漁協が合併を模索。しかし、結果は四つの合併漁協が誕生するにとどまった。

 「当時は多くの漁協が小さくても単独で存在し、発言力を持ちたいと考えていた」と、ある漁協関係者は振り返る。県経対協によると、当時の障害は▽財務格差と欠損金の存在▽隣接漁協との対立感情―など多岐にわたった。ただ、現在もそのまま当てはまる課題は多く、今回も小規模合併にとどまる可能性が消えない。

 ◇欠損金解消が基本

 今年3月、4地区ごとに漁協役職員らを対象に行われた説明会では、漁協が抱える欠損金の解消法や、補償金の行方を心配する声が相次いだ。

 県経対協などが策定した「合併基本計画」によると、欠損金がある場合でも、経営改善計画を策定すれば合併できる仕組みはあるものの、あくまで合併前の解消が基本となる。「合併協議は、各漁協が財務状況を健全にしてから」との意見も根強い。

 県南地方のある漁協組合長は、「魚価が向上するとか、資材が低価格で購入できるとか、具体的な合併メリットが分からない」とこぼす。第2回合併推進協では、魚価向上を図るための鮮魚集荷体制についてイメージが示されたものの、各漁協は合併後の姿をまだ共有できていない段階だ。

 四つのブロックは、各漁協の筆頭職員らによる協議を8月下旬から始める。どこまでメリットが明らかになり、経営状況の善しあしをどう乗り越えるのか。最終的に県内1漁協を目指すという"百年の計"は、これから正念場を迎える。

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