原子力船から"転身"、資源調査でも活躍 20周年迎える「みらい」

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海洋観測に向かう前の補給で八戸港へ寄港した「みらい」=7月11日

 10月に就航から20周年を迎える海洋研究開発機構(神奈川県横須賀市)の海洋地球研究船「みらい」。原子力船「むつ」の原子炉を取り外し、ディーゼル機関を搭載するなどの大幅改造で世界最大の観測船に生まれ変わった。青森県むつ市の関根浜港を母港に世界中で海洋、気象観測に従事。ここ数年は日本近海で海底資源の調査にも携わっており、活躍の幅を広げている。

 みらいの特長は、むつ譲りの頑丈で大きな船体。氷で覆われた北極海を含む世界中の海を、大型の観測機器を積んで長期航行することができる。

 ドップラーレーダーや観測ブイ、音響測深装置の他、海水やプランクトン、大気などの採取装置を搭載。エルニーニョ現象の発生予測や気候変動のメカニズム解明、海洋酸性化の観察などに実績を残してきた。

 同機構・むつ研究所の渡邊修一所長は「2003年には半年で世界一周する観測航海を行い、素晴らしいデータを採取した。みらいの他にできる船はない。地球の環境がどう変わるのか、きちんとしたデータを残すことが重要だ」と強調する。

 一方、資源調査に関わったのは14年から。その2年ほど前に南鳥島の周辺で希少金属を豊富に含む「レアアース泥」が発見され、分布や生成過程(成因)を解明するプロジェクトが始まった。みらいは海底の泥採取や地形読み取りなどの役割を担った。

 この調査でも船体の大きさが生かされた。水深6千メートルの泥を採取するのは全長20メートルもある「ピストンコアラー」と呼ばれる装置で、みらいはいくつも積載できる。海底地形を読みながらピンポイントでコアラーを打ち込み、目標の試料(コア)を採取。レアアース泥の分布をつかんだ。

 また、沖縄県沖の海底熱水鉱床など他の資源でも開発に伴う環境影響の評価に携わっており、観測面だけでなく資源調査の分野でも求められる役割は大きくなっている。

 機構で資源調査を担当する海底資源研究開発センターの木川栄一センター長は「ピストンコアラーを扱える大型の船は数が限られており、みらいの活躍で南鳥島周辺のレアアース泥の分布を明らかにすることができた」と指摘。今後の活躍に期待を寄せた。

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