浦和ファンとシャペコエンセの美しい“交流”。ブラジル国内の反応は?

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 8月15日に行なわれたスルガ銀行チャンピオンシップは、浦和レッズ、シャペコエンセともに決定機は少なかった。しかも、勝敗を分けたのは微妙なPKの判定(1-0)とあって、タイトルマッチとしてはやや盛り上がりに欠けた。
 
 そんな試合の後に強い印象を残したのが、浦和サポーターとシャペコエンセ・イレブンによる“交流”だ。ゴール裏に陣取った浦和ファンが、「アミーゴ、今度はクラブワールドカップで会おう」というポルトガル語の巨大バナーを垂らし、あらかじめ用意していた数千もの緑のプレート(緑はシャペコエンセのクラブカラー)を一斉に頭上に掲げてみせたのである。
 
 シャペコエンセの選手たちは、すぐさまこのメッセージに反応。CFウェリントン・パウリスタら4選手がゴール裏へ駆け寄り、ユニホームを脱いでスタンドへ投げ入れた。すると、浦和ファンから拍手と歓声が沸き起こった。
 
 勝ったチームのサポーターが、相手を揶揄したり野次を浴びせたりするのは、よくある光景だ。しかし、このような真心のこもったエールを送るのはかなり珍しい。
 
 同時に、選手たちが対戦相手のサポーターの行動にこれほどダイレクトに応えることも、さほど多くはない。サッカーという世界で最も人気のあるスポーツのポジティブな面を象徴する、美しい光景だった。
 
 この一連の出来事は、ブラジル国内でも報じられた。あるシャペコエンセの女性サポーターは、取材した記者にこう伝えている。
 
「浦和レッズのサポーターの温かい気持ちに感激した。私たちからの感謝の気持ちを、できれば彼らに橋渡しして」
 
 シャペコエンセの、スペイン(バルセロナ戦)と日本でのひと夏の冒険は終わった。これから約30時間かけて地球を半周して帰国すると、長旅の疲れと12時間のジェットラグを癒す間もなく、国内での超過密日程をこなさなければならない。
 
 それでも、「クラブとチームを同時に再建する」という世界スポーツ史上例のない困難なミッションの途上にある選手たちの表情は、充実感に溢れていた。
 
取材・文:沢田啓明
 
 
【著者プロフィール】
さわだ ひろあき/1986年にブラジル・サンパウロへ移り住み、以後、ブラジルと南米のフットボールを追い続けている。日本のフットボール専門誌、スポーツ紙、一般紙、ウェブサイトなどに寄稿しており、著書に『マラカナンの悲劇』、『情熱のブラジルサッカー』などがある。1955年、山口県出身。
 

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