防災訓練全区で複数回実施 地域防災力の向上へ川崎市

 川崎市は本年度から、市内の全7区でそれぞれ防災訓練を複数回行う。同市は「市総合防災訓練」を年1回開催してきたが、開催区以外の住民が参加しやすい訓練機会を増やすとともに、地域の実情や課題に応じた実践訓練も実施。市民の防災力や地域の連携力の向上を図っていく。

 市は、消防や警察など防災関係機関の連携訓練に重点を置いた総合防災訓練を各区の持ち回りで年1回開催してきた。本年度は昨年4月の熊本地震の支援で得た経験を踏まえ、訓練体制を大幅に見直した。

 今月27日に麻生区で開催する市総合防災訓練を皮切りに、各区2回ずつ計14回の訓練を来年3月にかけて行う。訓練は首都直下地震を想定し、区の危機管理担当が訓練に参加する自主防災組織などと調整して内容や日時を決めた。開催経費は1回約200万円前後を想定して予算措置した。

 例えば川崎区は、初期消火訓練などに加え、体験型防災アトラクションを用意。区内に多い外国人市民対象の防災講座や臨海部の津波訓練も行う。

 人口増が著しい中原区は区内を4地区に分けて輪番制で実施し、避難所運営訓練を行う。宮前区は避難所開設運営訓練や巡回型救護訓練などを行い、多摩区は授業中の発災を想定し住民と児童が連携した訓練を予定する。区単位で防災訓練を先行してきた高津区と幸区も各種訓練を予定する。

 市総合防災訓練は麻生区上麻生のあさおふれあいの広場周辺で午前10時から実施。約1500人が参加予定で、区内の屋外防災行政無線を使って訓練会場以外の避難所への一斉避難訓練も予定している。

 各区の訓練は会場に行けば参加できる。市危機管理室は「多くの住民に参加していただき、地域に合った実践的な訓練を通じて地域防災力を高めてほしい」としている。

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