豪州SC:シモーナ・デ・シルベストロが最終テストをパス。「次戦は前進したい」

 2017年からオーストラリアの人気ツーリングカー、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーに参戦している“新人ドライバー”のシモーナ・デ・シルベストロが、自身3回目となるルーキーテストを消化。「自分のドライビングより、ニッサン・モータースポーツのパッケージ改善に役立った」と、成果を語った。

 スーパーカー・シリーズに参戦する初年度ドライバーには、年間に3度のテスト機会がチームに与えられ、そのルーキー・テスト・デーの活用によりマシン習熟やドライバーのスキルアップを促す役割が期待されている。

 シモーナは今季開幕前、オーストラリア入りした直後となる2月初旬に最初のテストを実施。その後、開幕戦のアデレード500終了直後にも、2度目のテストをウィントンのトラックで行っている。

 先週に行われた最終となる3回目のウィントン・テストは、シモーナの習熟ではなくニッサン・モータースポーツ全体のレベルアップをメインとしたプログラムに変更され、エースであるリック・ケリーも参加できるようリスケジュール。

 彼も規定最大となる10周のマイレージを消化し、難なく最終テストを終えたシモーナも「チームはまだすべてのアップデートを果たしたわけではないので、自分たちが望むことに時間を使うのは正しい選択」だとコメントした。

「私たちがレースウイークで苦労しているいくつかの項目にチェックボックスを入れて、改善に向けてどちらに向かえば良いか、明確なアイデアを得るのはとても有効だと思う」とシモーナ。

「私はクルマの中で本当に快適に過ごしているから、それよりもチームの全員でテストをシェアして、少しでも改善に向けた小さな積み重ねをつかむ方が有意義よね」

「ここ数戦はさまざまなアイデアを実践してきたけど、どれも期待したほどの効果を出すまでには至っていない。だからこそ、ここで明確な方向性を得られることを期待してるの」

 北米のインディカーやフォーミュラEなど、シングルシーターでキャリアを積んできたシモーナだが、初のツーリングカーとなるVASCでも彼女のアプローチはすでにチームメンバーに強い印象を与えているという。

 しかし、前半戦終盤はフラストレーションのたまるリザルトが続き、とくに予選では9戦連続で24番手以下という苦しい展開となり、28歳のドライバーとしても正念場を迎えている。

 彼女のリザルトは、過去にも国際的な活躍を経て参戦を果たしたルーキードライバーたちと比較されるが、もっとも重要なポイントは、チームメイトのマイケル・カルーソと選手権ランキングで4番手しか違わない、という点だろう。

「ランキング23位は褒められたポジションじゃないわね。でも、どんなレースシリーズでも最後のコンマ5秒を探し当てるのは本当に困難で苦痛を伴う作業なの。それは本当に細部のあらゆる要素の積み重ねでしかないから。でも、私には『確実に近づいている』という感覚がある」

「レースの日曜が来るたびに、そのことを感じる。私たちは強くなってきたけど、さらに前進する必要がある。今年中に何かが劇的に変わるとは思わないけど、ウィントンのように経験のあるトラックだと、とても競争力のあるペースが保てる。それが後半戦の前進につながるといいわね」

 今週末の8月18~20日に開催される後半戦開幕ラウンドのシドニー・モータースポーツ・パークを含め、次の3ラウンドのうち2戦は彼女の知るトラックとなり、そこにはシリーズ最大の祭典である“バサースト1000”の舞台、マウント・パノラマも含まれている。

© 株式会社三栄