相手を怒らせない伝え方と怒りの鎮め方のコツ

会話の中で、無意識のうちに相手を怒らせる伝え方をしてしまうことはありませんか?

怒りを挑発する物言いをしていませんか?

何気ない会話の途中で、その気はないのに相手をカチンとさせてしまうことがあります。それは多くの場合、伝え方に問題があるからなのです。その典型が「YOUメッセージ」。「○○しなさいよ」「なんで○○しないの?」というように、「あなた」を主語にした物言いです。

こういう伝え方をされると、相手は自分のこと、自分の言っていることを一方的に批評、非難されたような感じを受け、カチンときてしまうのです。

相手を怒らせたくないなら、ぜひ「わたし」を主語した「Iメッセージ」で伝えてみてください。同じ内容でも、「私は○○した方がいいと思うよ」「その訳を聞かせてほしいな」という伝え方をした方が断然ソフトに聞こえ、相手は素直に話を聞こうという気持ちになります。

カップルのケンカから「怒りの鎮め方」を考えよう

カップルのケンカを例にとって考えましょう。付き合い始めた当初は1日中おしゃべりしても飽きなかったのに、いつのまにか何を話しても反発しあってしまう。そして、ある日大ゲンカをしてジ・エンド……。こんな失恋のドタバタ劇はあちこちで見られますよね。

よくあるのが、彼女があれこれ話してくるのに、彼が話を適当に聞き、彼女が「また聞いてない!」「なんでいつも適当に受け流すの?」とYOUメッセージで攻撃してくるケース。すると彼もカチンときて、「うるさいな! 黙ってろよ」とYOUメッセージで応酬し、手がつけられないケンカに発展してしまいます。

こうした小さなイザコザを重ねると、お互いを愛せなくなり、関係が壊れてしまいます。男女間だけでなく、友だちや親子でも同じこと。こんなとき、どちらかが相手の第一感情に注目し大事にしていたら、ケンカにはならないのです。

怒っている彼女の第一感情は、「話を聞いてくれないなんてがっかり」「いつも聞き流されてさびしい」といった気持ち。彼の第一感情は、「疲れてるのにガンガン話しかけてこないで」「一方的に非難されるのは心外だ」といった気持ち。つまり、こうしたお互いの気持ちを理解しあえれば、怒りは治まります。

「話を聞いてほしいんだけど、私おしゃべりしすぎたかな?」

「ごめんね、ちょっと疲れてて。さびしい思いさせちゃって悪かったね」

どちらかがこうした物言いをしてあげれば、ケンカにならないはず。それなのに、「怒り」に対して「怒り」で応酬してしまうから、感情の処理ができなくなって、ケンカに発展してしまうのです。

怒りは本心に気づいてもらうためのサイン

怒っている相手の様子を見ただけで、「あいつ、キレやすいから」「いつもイライラして感じの悪い人」「ケンカっ早い性格ね」などと判断するのは早計です。

怒りをぶつけてくる人には、「気持ちを分かってほしい」という本音があります。「何があって、イライラしているんだろう?」「こんなに怒ってまで伝えたい気持ちって、何だろう?」というように、相手の第一感情に焦点を当てて考え、

「どうしたの? 何かあったのかな?」

「イヤなことでもあったのかな? 話を聞かせてくれる?」

と受容的に応答すれば、相手も怒りのベールを解いて第一感情を吐露し、本音を語りたくなるものです。

怒りは、「あなたに注目してほしい」「気持ちに気づいて!」「どうしたらいいの!?」という気持ちを伝えるサインでもあるのです。そして、相手が怒っているからこそ、その人が苦しい感情を抱えていることに気づき、すぐに援助の手を差し伸べることができます。

あなたの周りに怒っている人がいたら、ぜひこんな受容的な話し方を心がけてみてください。きっと何かが変わっていくと思います。

(文:大美賀 直子)

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